第39話:三人レッド
「えっと、太陽系って奴らの支店なのかよ!」
地球のテンセイベースに帰った俺達。
コスモポリスからの情報を博士からザックリと聞き愕然とした。
タタキアンにとって、俺達の地球がある太陽系はド田舎の支店らしい。
「何と言うか、多次元宇宙犯罪組織と言うだけはあるな」
清丸は、額に青筋を浮かべて苦い顔をする。
「他の次元宇宙も、あいつらの被害にあってるんだよね?」
「そっすね、自分達は何すか田舎ヤンキー扱いっすか?」
「きびちゃん、どうどう」
黄河さんは気難しげな顔で別次元を案じ、きびちゃんは眉を吊り上げて切れる。
緑山さんは、笑顔でまあまあときびちゃんを宥める。
「支部を潰し、敵の総本山を探し出して壊滅させないといけない」
博士は冷静に話を続けた、流石は司令官。
「ひとまず、太陽系支部とやらを見つけ出して潰しませんとね」
こっちに来た永遠さんも、頷きながら話に加わる。
支店だろうが本店だろうが、奴らの根城は見つけ出して全滅だ。
俺は拳を握り、闘志を燃やす。
「今後も、地球も守りつつ定期的に宇宙へ出かける事になるので宜しく頼む」
「「了解です!」」
博士の言葉に俺達は応じた。
宇宙に行くようになってどうなるかと思ったが、手に入るもんもあったな。
「ところで灯希様、パトリシアとはどう仲が良くなったのですか?」
「え、あの姉ちゃんとは戦った後で命を助けただけだぜ?」
「ずいぶん、灯希様にご執心なようでしたので」
「おいおい、勘弁してくれよ?」
永遠さんが、全身から黑いオーラを出しつつ笑顔で俺に尋ねて来る。
隠す理由はないので素直に語る。
パトリシアさんとの戦闘は、下手したらどちらかの命が消えてた。
メイスでフルスイングして襲って来る相手と、どう仲良くなれと?
「何すか、ともせんぱいはまた誰か女を助けたんすか?」
「うん、赤羽君は出会い過ぎなんじゃないかなあ?」
呆れ顔のきびちゃんと、ヤンデレ彼女みたいな事を言う黄河さん。
俺は人として正しい事をしただけだ、悪党ではないなら殺す必要はない。
「灯希は、フラグは立てすぎるなよ?」
「いや、立ててないからな?」
清丸のため息混じりの呟きにツッコむ。
今は色恋とかの場合じゃねえな。
家に帰ってから、部屋で甚兵衛姿で寛ぐ。
「ふう、敵を知り己を知るか」
「あちこちに分散してる悪党は面倒ピヨね?」
ヒノエが人間形態で横に来て語りかける。
「まあな、だがやるしかねえ」
「魔王退治の旅と同じピヨ♪」
ヒノエがバシバシ背中を叩く。
「おう、活が入ったぜありがとうな♪」
「どういたしましてピヨ♪」
相棒に励まされ思わず微笑む。
「そう言えば、誰と出かけるか決めたピヨ?」
「あ、まだたった!」
「仕方ないピヨね、じゃあ今回は私と行くピヨ♪」
「おう、すまねえな」
炎太郎さんの芝居はヒノエと行く事にした。
仲間達の好意はありがたいが、ここは安全な方を選ぶぜ。
さりげなく聞いてみたら、誰も予定があるみたいだったし。
厄介な選択肢が無くなったので、相棒と楽しく出かけられるぜ。
いや、黄河さんや永遠さん達の事は嫌いじゃないし魅力は感じるんだがヤバい。
俺があの二人を見ると、何と言うか背後からビーストが出てる。
清丸も言うように、迂闊に近づけば変なフラグになりかねない。
嫌われてないのはありがたいが、異性の味方との付き合い方は難しいぜ。
そして訪れた観劇の日、俺は相棒のヒノエと共
「結構、お年寄りに人気ピヨね~♪」
「だなあ、あの人は人たらしだから」
俺は赤パーカーにカーゴパンツとラフないで立ち。
ヒノエは、赤い浴衣に黄色い帯と和装だ。
「天気も良いし、事件が起きて欲しくないピヨ♪」
朗らかな笑顔で願いを口にするヒノエ。
「いや、それはフラグだ!」
焦って叫んでしまう俺、言霊ってのはある。
事件が起きたらまた休みが潰れてしまう。
「やあ♪ 久しぶりだね、灯希君♪」
芝居がかった男性口調だが、美少女の声に振り向く。
背中に薔薇を背負った男役、ここは舞台の上じゃねえ。
胸が大きいボーイッシュな美少女が笑みを浮かべた。
短い金髪、眉毛も金髪か?
日本語喋ってるけど、日本人じゃねえ。
「ど、どうしたんだい! 僕の事を見つめて!」
「いや、空みたいに綺麗な目をしてるなって?」
「ああ、君は何て心地良い男なんだ♪」
おっと、何かいきなり熱が入ったぞ?
「あらあら、何かここでも舞台が始まったわ♪」
「ちょっと、あの方はもしや薔薇園芸術学校の!」
何か俺らの周りで並ぶおばあ様方がはしゃぎだした。
「えっと、ローズレッドだよな?」
「ピヨ、間違いないピヨ♪」
ヒノエがファクトチェックしてくれた。
やはり彼女は、以前出会った別戦隊のレッドか。
「ルージュ・シノンだ♪ 縁あってフランスからこの地へ来ている」
「ああ、それで戦隊してると?」
何か悲しげな眼になるルージュさん、俺なんかした?
「ヘリオン、僕の事を思い出してくれ! 共に魔王に立ち向かった日々を!」
「誠に申し訳ございませんでした!」
ルージュさんの訴えに土下座する。
まさかの会って見たかった前世の仲間だった!
周囲がドン引きしてるけど気にしない。
相手が思い出してくれたのに、俺が覚えていない事が申し訳なかった。
「……仕方のない人、でもそれがあなたらしい♪」
「……もしかして、姫さんか?」
立ち上がらされた後の俺の呟きに、ルージュさんが抱き着いて来た。
「はい♪ 男装の剣士として旅をしたロージーです♪」
男装の麗人が乙女に変わる。
「ピヨ、落ち着くピヨ!」
「……ああ、すまない♪ そちらのお嬢さんは、フェニックス様?」
「ピヨ、ヒノエと名乗ってるピヨ♪」
ルージュさんが恭しくヒノエに一礼する。
周囲のおばあさま方がルージュさんに見惚れていた。
「おう、灯希じゃねえか♪ そっちはルージュじゃねえか♪」
気が付くと炎太郎さんがこちらの列にやって来た。
赤シャツにダメージジーンズとラフな姿だ。
「やあ、鬼ヶ島さんごきげんよう♪」
男装の麗人モードで接するルージュさん。
「どうもっす」
「どうもピヨ♪」
俺とヒノエは普通に挨拶する。
「灯希は、戦隊にいた子は誘わなかったのか♪」
「誘えないっすよ!」
「何だ、僕に教えてくれたらチケット買わずに済んだのに♪」
「いやそっちも、普段の暮しが別だろ?」
知り合いが増えてぐだぐだになる。
そう言えば炎太郎さんは何でここに、チケットの受付か?
「いや、灯希とルージュには悪いんだが舞台に上がってくんね?」
「ぶ、何すかその行き当たりばったりは!」
「相変わらず、トラブルの絶えない方ですね?」
「頼む、バイト代出すから♪」
何か、いきなり舞台に出ろと頼まれた。
「灯希君、一緒に上がろう♪」
「そうだな、男は度胸だ!」
俺とルージュは炎太郎さんの頼みを受け入れた。
炎太郎さんの手引きで体育館の裏口から楽屋入りする。
「おう、こいつらが代役だ♪」
「ちょ、座長! 一人は知らないけれど、もう人は有名人!」
「ルージュさんは、出したらあっちの事務所に怒られる案件じゃないですか!」
炎太郎さんが俺とルージュを他のメンバーの皆さんに初会する。
だが、俺も予想はできたが他の役者さん達はてんやわんや。
「大丈夫だ、友情出演って事にする!」
「皆さん、僕の方は何とかしますからご安心下さい♪」
「えっと、スピリタステック所属のテンセイレッドです頑張ります!」
俺がヒノエと一体化して変身して見せた。
「ちょ、こっちはこっちで問題だ~!」
緑の着流し姿で、ちょんまげカツラのお兄さんが叫ぶ。
どうやら俺の休日は、またもやカオスな展開で潰れる事になりそうだった。
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