第16話
カクヨム 第2話。閉ざされた扉 (第2部 / 改訂版)
(シーン:菜々美のアパート。翌朝。菜々美は、ミサキからの連絡を待ちわびながら、落ち着かない様子で部屋の中を歩き回っている。)
篠原七海、改めこずえシノハラの過去を知る手がかりを求め、ミサキからの連絡を待つ菜々美。時間が経つにつれて、焦燥感は募っていく。
(菜々美、心の中で): まだ連絡がない…もしかしたら、ミサキ、うまくいかなかったのかも…。
昼過ぎ、ようやくミサキから電話がかかってきた。
ミサキ: 菜々美、ごめん、遅くなって。例の同僚に連絡してみたんだけど…。
菜々美: どうだった?何か分かった?
ミサキ: うーん…ちょっと難しいみたい。彼女、昔のことをあまり覚えてないみたいだし、それに、こずえシノハラのことを、あまり人に話したくないみたいなんだ。
菜々美の心は、落胆でいっぱいになった。
菜々美: そう…。やっぱり、ダメか…。
ミサキ: ごめんね、菜々美。せっかく期待してたのに。
菜々美: ううん、いいのよ。ミサキが悪いわけじゃないし。ありがとう。
菜々美は、電話を切ると、深いため息をついた。頼みの綱だったミサキからの情報も得られず、途方に暮れる。
(菜々美、心の中で): もう、手段がないのか…。
しかし、諦めかけたその時、菜々美は、ある考えを思いついた。
(菜々美、心の中で): 直接、こずえシノハラさんに会って話を聞くしかない!
菜々美は、こずえシノハラが代表を務める「アトリエ・シノハラ」に、電話をかけることにした。
(シーン:菜々美のアパート。電話のベルが鳴り響く。菜々美は、緊張した面持ちで受話器を取る。)
菜々美: もしもし、アトリエ・シノハラ様でしょうか?
受付の女性: はい、アトリエ・シノハラでございます。
菜々美: あの、こずえシノハラ様にお話があるのですが、お願いできますでしょうか?
受付の女性: 恐れ入りますが、こずえは只今、外出しておりまして…。どのようなご用件でしょうか?
菜々美: 実は、個人的なことで、どうしてもこずえ様にお会いしてお話したいことがあるんです。
受付の女性: 申し訳ございませんが、こずえは大変多忙でございまして、アポイントなしでの面会は、原則お断りさせて頂いております。
菜々美: 分かっています。でも、どうしてもお願いしたいんです。ほんの少しの時間でも構いませんので…。
受付の女性: うーん…少々お待ちください。
受付の女性は、しばらく電話口で待たせた後、
受付の女性: 申し訳ございませんが、やはり、こずえとの面会は、お断りさせて頂きます。
菜々美: そんな…!
受付の女性: もしよろしければ、ご用件を伺い、こずえに伝えておきますが…。
菜々美: いえ、結構です。ありがとうございました。
菜々美は、電話を乱暴に切った。こずえシノハラに会うことは、やはり、容易ではない。
(菜々美、心の中で): アポイントなしでは、絶対に会えないっていうのか…!
しかし、菜々美は、諦めることをしなかった。こずえシノハラに会うためには、どんな手段を使ってでも、アポイントを取るしかない。
(シーン:菜々美のアパート。翌日。菜々美は、7SEEDS貿易センタービルの地図を見つめている。)
菜々美は、こずえシノハラに会うための、最後の手段を決意した。直接、アトリエ・シノハラに行って、こずえシノハラに会うしかない。
(菜々美、心の中で): どうせ断られるなら、直接行って、何とか頼み込むしかない!
菜々美は、決意を胸に、7SEEDS貿易センタービルへ向かう準備を始めた。
(シーン:7SEEDS貿易センタービルのエントランス。菜々美は、受付で、アトリエ・シノハラの場所を尋ねる。)
菜々美: すみません、アトリエ・シノハラは、何階にありますか?
受付の男性: アトリエ・シノハラ様ですね。25階にございます。
菜々美は、エレベーターに乗り、25階を目指した。
(シーン:アトリエ・シノハラの受付。菜々美は、緊張した面持ちで、受付の女性に話しかける。)
菜々美: すみません、こずえシノハラさんにお会いしたいのですが。
受付の女性: 申し訳ございませんが、こずえは只今、外出しておりまして…。アポイントはお取りになっていますか?
菜々美は、覚悟を決めて、
菜々美: アポイントは取っていません。でも、どうしてもこずえさんにお会いしたいんです。
受付の女性は、困った顔をした。
受付の女性: 申し訳ございませんが、アポイントなしでの面会は、固くお断りさせて頂いております。
菜々美: 分かっています。でも、少しだけ、時間を頂けないでしょうか?ほんの数分でいいんです。
受付の女性: うーん…少々お待ちください。
受付の女性は、奥の部屋に電話をかけた。菜々美は、祈るような気持ちで、返事を待った。
(続く)
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