最愛の息子を神様は奪っていった。 子を失い、夫から見限られ、孤独に沈む女性。 ある春の日、目立たない場所にぽつんと置かれたベビーカーを見つけた彼女は……・ やるせない気持ちになる短編。 運命(神)がもたらす残酷さと、突如として現れた機会(蛇)の狡猾さを受け容れるには、傷心の彼女はあまりにか弱かった。 哀しみの中で彼女が手にしたものは、晴れやかで、軽やかで、仄かな暖かさを持っていた。 それはきっと、長く待ち焦がれた「春」だったのだろう。