エーリッヒ・フロムは愛は技術であると言っている。曰く、ケア、責任、尊重、知識が必要らしい。
具体的な話はこの際どうでも良いのだが、肝心なことは、愛せないことはなんら不思議な事ではないという点だ。
本作品の主人公は子供を愛せないと悩んでいる。繰り返すが、愛せないことはなんらおかしな事ではない。しかし、この主人公が子供を愛せなかったのかは疑問だ。
子供が不幸になるから産みたくない。
子育てに責任が持てないから産みたくない。
上記の事から、旦那の願望であっても反対している。
子供が生まれてからも、腹をたてる程度には気になっている。
上記した点は、見方を変えればケア、責任、尊重、知識の四要件を備えているとも考えられる。少なくとも読んだ印象としては、子供を愛せないとは感じない。これらの要素がチグハグで噛み合っていない様に思えた。
子供を愛せたとしても、その愛が最優先になるとは限らない。
子供を愛せたとしても、それが暴力を伴わないとは限らない。
本作品の主人公に関して言えば、愛せないと思い込んでいることが一番の問題だ。所詮、愛なんて技術でしかないのだから。