第19話 表ヒロミチ総統の矢紙
パレスの回廊を歩く。
ゆっくりと、静かに。その手に力を握りながら。
少年は、大聖堂を目指す。
ーーーーーーーーーーーーー
「死ねっ!」
ヒロミチの握る刀の切っ先がヒロミチの鼻先をかすめる。
「フン、ファイナルエディション風情が」
ファイナルエディションの振りかざす漆黒の太刀。松田タクヤの造り出した、人造兵器『深界の戒め』である。
「ベスチバンゲを処分してくれたのは貴様だったか。ファイナルエディション」
「ざけるな!」
“最初”のヒロミチが迫る漆黒の太刀をシャーペンの芯で受け流す。
「くっ! まだまだぁ!」
「熱くなるな、ガキ」
シャーペンの芯を指の間に挟み、飛ばす。
弾丸の如く飛来するそれを、ファイナルエディションは刀で弾き落とす。
「無虹黒天剣!」
剣尖から漆黒の波動が撃ち出される。分厚く重い、闇の波動。
「ダークネス・ユーヴィ!」
オリジナルは天に指を掲げ、振り下ろした。
視認の不可能な斬撃が、黒い波動を真っ二つに切り裂く。
「所詮はこの程度か、ファイナルエディション君」
「チッ……」
ーーーーーーーーーーーーー
階段を降りる。
足音も立てず、壁画の上に影を映して。
少年は、大聖堂を目指す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます