幕間 ~三つの説明~

「ん……!?」


 コンビニでエロ本を立ち読みしていたヒロミチは、不意に妙な違和感を感じた。それが何なのかは解らない。しかし、何故か腹の中がスッキリしない、そんな違和感。


「何だ?」


 気のせいで済ませられるほど軽いものでは無かった。訳も分からず焦ってしまう。


「なにか、ヤバい事が起こりそうだ」


 ヒロミチは読んでいたエロ本を棚に戻すと、シーチキンマヨネーズを三つパクり、店を出た。



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『デルタエリーゼ』

 神戸市に存在する、少年ギャングファミリーの名である。

 彼等はギャングと呼ばれつつも、町のヒーローとして市民から一目置かれていた。

 強きを挫き弱きを守る。それが『デルタエリーゼ』の存在意義である。

 そして今日も彼等は、町を守るため、尽力するのであった。


「死にやがれクソ野郎!」


 相手の一瞬の隙をついて、眉間に鉛弾をぶちこむ。響き渡る銃声。立ち上る硝煙。

 前頭部がはじけ飛び、中の脳が飛び出る。


「やったぜ」


 左の手に巨大なマグナムリボルバーを握っている少年は、『デルタエリーゼ』のリーダー、『エンズマイトナルの鷹』の異名を持つ、櫃田シュンペイだった。


「また一匹、町の害虫を排除出来たな」


 シュンペイは銃を懐にしまうと、夜の闇に消えた。



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 プロジェクト・ナミコ。


 それは人間に許された力の限界を打ち破るために、松田タクヤが計画したものだった。

 一人の少女の遺伝子を操作し、全てを作り変えてしまおうという、人道に外れた人体実験だった。


 計画は成功した。通常の人間を遥かに凌駕する身体能力を身に付けた川本奈美子。しかし、その副作用として精神状態に多大な異常をもたらした。

 世の男全てを憎み、強い殺意を抱くようになったのである。


 そして、奈美子は目覚めた。全ての男を抹殺するために。

 既に廃墟となった姫路市に、一人の怪物が降臨したのである。

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