満月の夜に…

満月の夜に…

…飲み過ぎたな

定まらない視界に

我ながら呆れつつ…

部屋に戻り

ベッドに仰向けに倒れ込む

窓から見える 満月が

ユラユラと揺れる

満月へと手を伸ばすが

何一つこの手には掴めない

不自由な自由しか与えてやれず

与えてやる物より

与えられた物の方が

遥かに多かった

当たり前にあったはずの温もりを喪い

突然、真っ暗な穴に堕ちたかの様に…

何も見えず、何も聞こえなくなる

熱いモノが込み上げ

目尻から落ちていく

大丈夫、咲夜は大丈夫

そう言って笑う お前の顔が浮かぶから

掴めなかった満月を

そっと両の掌で救う

お前は…… 幸せだっか？

そう聞いたら お前は何て答える？

一度くらい聞いておけば良かったな……

浮かんでくるのは

お前の笑顔だけだから

俺と同じで

お前も幸せだった…

そう信じている

堕ちていく意識の狭間

お前に 問いかける

“お前は幸せだったか？”

笑顔で頷くお前が

月明かりで揺れていた