第15話
「もういいから、頭を上げてよ」
さっきから通り過ぎる生徒達が、何事かと私達をチラチラ見ている。こんな所で目立ちたくない。
「かすみが許してくれるまで、このままでいる」
「バスケの試合に来たんじゃないの? 早く体育館に行きなよ」
「嫌だ。かすみが絶交を取り消してくれるまで、ここを動かない」
「も~、わかったから。とりあえず頭を上げて」
「許してくれるか?」
健人がやっと頭を上げた。
「……うん」
あの時は絶対許さないって思ってたんだけどな。
一年経って、怒りや悲しみは癒えたみたいだ。
「じゃあ、昔みたいにバスケの応援してくれよ」
嬉しそうな笑顔をみせる健人に手を引かれて、体育館の方へと向きを変える。
――あっ!
すぐ近くにジャージを着た会長が立っていた。
「い、いつからそこに居たんですかっ?」
健人の手を振り払った。
「安西さんが彼に呼び止められた時から」
「……立ち聞きですか?」
「うん、まあ、お互い様だよね」
屋上のことを言っているんだろうけど、私は聞きたくて聞いてたんじゃないのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます