第11話
「あんたにだけ特別に教えてあげる。お兄ちゃんはね、奈緒の本当のお兄ちゃんじゃないの。本当のお兄ちゃんは奈緒が七歳の時に、死んじゃったんだ。お兄ちゃんは、それより二年くらい前に、お父さんとお母さんが事故で死んで独りぼっちになっちゃったから、うちの子になったの。奈緒のお父さんとお兄ちゃんのお父さんがいとこだから、少しは血が繋がってるけど、私達結婚できるんだよ」
へ、へえ~、そうなんだ。
衝撃的な情報が多すぎて、すぐには整理できない。
「だから、お兄ちゃんを好きになっても無駄だから」
彼女に鋭い視線を向けられて念押しされる。
誰もが憧れる存在の会長だけど、私まで警戒しなくてもいいのに。そんな誤解されるようなこと、ただの一度もないよね。
でも、もしかして、会長の気持ちを疑っているの?
「会長も、結婚したいって?」
「うん、もちろん。だって、お兄ちゃんは私の言うことは何でも聞いてくれるの」
「何でもって……」
会長も結婚を望んでいるんだったら、それでいいけど……。
なんだかモヤモヤするな。
やがて戻ってきた会長に本心を聞きたかったけど、彼女がベッタリくっ付いている中で、とても口には出せなかった。
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