第10話

放課後の生徒会室。


今日の議事録をまとめている私の他に、室内には会長と妹の奈緒ちゃんが残っている。


「ねえ、まだ終わんないの?」


会長が職員室に行くと席を立った後、奈緒ちゃんが話し掛けてきた。


「もう少しで終わります」

手を動かしながら答えると、

「ホント、あんたって目障りなんだよね」

会長の前では決して出さないとげとげしい声。


「お兄ちゃんの気を引こうとしたって無駄なんだから」


……はあ?


どこをどう見たらそんなこと思うんだろ。

私はただ書記の仕事を全うしているだけなのに。


「お兄ちゃんは奈緒のものなの。奈緒がこの高校に合格できたら結婚してもいいって、お父さんが約束してくれたんだからね。だから、嫌いな勉強も頑張ったの」


――えっ?


「け、結婚って……あなた達、兄妹なんでしょ」


それをお父さんが許すって、この子、頭大丈夫? 

なんか夢でも見てるの?

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