第3話

「今日は生徒会の仕事あるから、先に帰ってて」


「えーっ」


不満げな声を上げる彼女。


「ほら、行って」


「う、うん。じゃあ、晩ご飯の支度お手伝いして待ってる」


「ああ、母さんの邪魔しないようにな」


「邪魔なんてしないよっ」


「わかったわかった」


「じゃあね」

と手を振って、彼女は立ち去った。


今のって……どう聞いたって、兄妹の会話だよね。

それなのに……禁断の、恋?


ど、どうしよう。


知ってはいけないことを知ってしまった。

聞かなかったことに、見なかったことにしたいよ。


数十分前の自分に言ってきかせたい。


屋上は立ち入り禁止! 絶対に入ってはダメ! 

ルールは守りましょう!

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