第3話
直『課長?』
藤「直井」
直『は…い?』
どうして、ドアに内鍵をかけたんだろう。
どうして、急にそんな低い声を出すんだろう。
どうして…
直『やっ…!?課長!?やめてください!』
藤「大声出すな」
直『だっ…て、かちょ…』
藤「静かにしろっつってんだろ」
うそ。なんでこんな乱暴されなきゃいけないんだ。
これが本当にあの課長か?
俺のミスを一緒になって後始末してくれて、それからも俺を手元に置いてさりげなく教育してくれて…
藤「座れ」
直『あ…』
藤「暑いんだろ。服、全部脱げ」
直『で、でも』
藤「逆らう気か?」
同じ目線であごに指をかけられる。
壁に追いつめられ、なすすべもなくしゃがみこんだ。
藤「縛られたい?それとも目隠し?」
至近距離に課長がいる。
俺がふるえる指ではずしたネクタイを奪い取り、弄ぶように俺を上から下までなぞった。
直『や、ぁ…っ』
藤「あれ?こんなのでも感じるんだ。へぇ…」
直『そ、そんな…』
藤「おまえ無防備すぎるんだよ。そんな顔で、ずーっと俺のそばにいやがって」
直『うぁ…そ、そんな顔…って?』
藤「こういう顔だよ」
突然、手鏡を突き付けられた。
小さな鏡の中に、頬を上気させた自分がうつっている。
藤「まだ全部脱いでないね。脱がされたい?」
直『違います!そうじゃなくて、課長…』
藤「あぁ…俺も脱がないとイヤか。わがままだな」
そうじゃない。そうじゃなくて。
俺はただ、あなたが…
藤「ほら。これで俺も、おまえと同じ」
直『…もうやだ…』
藤「シャツ以外、何も着てない。あとはこうして…」
直『あぁっ!』
ネクタイで両手を背中側に縛られた。
目元を覆うのは、課長の手のひら。汗ばむ室温とは裏腹に、そこだけひんやりしている。
藤「おまえはいやらしいな…」
直『やっ、あぁ!あぁん…か、課長…っ、や、さ、さわらないで…あぁ、あっ』
藤「直井…」
奪われた視界の中、課長の指と舌が俺を追い立てる。
やめて、本当に。おかしくなる。
いや、もうおかしくなってるか。
直『か、ちょ…、はぁ、あっ』
藤「何…?もうイキそう?いいよ、ほら…」
直『ゃ、あぁ!そ、じゃなくて…っ』
最初に殴ってでも抵抗すれば、逃げられたかな。
そうでもないかな。
もうこれは最初から決まっていたことなのかな。
直『課長も、一緒にぃ…』
藤「…わがまま言うなっつったろ……、っく!!」
直『あ、あぁん…いく、いくぅ…課長…!!』
果てる瞬間、離れたくなくて彼を呼んだ。
ぽたりと床に落ちる、汗。
生暖かい感覚が広がって、それがさらに体を熱くする。
…ひどい人なのに。
先月から俺を近づけてくれたのは、こんなことをする為だったんですか?
そう聞きたいのに。
直『あぁ……課、長…』
藤「……」
裸で向かい合って座り、むさぼるように手を伸ばした。
体が、この手が。
課長を求めて止まらない。
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