第4話
増「ふ、藤っ…!」
藤「うん」
増「…な、なんで?どうして!?だっておまえ、死んだんじゃっ…」
藤「………」
増「い、生きてたの?」
藤「………」
升「何とか言えよ!おまえ、冗談じゃないぞ!?今これ、何のためにみんな集まってると思ってるんだよ、おまえの、おまえの葬式にっ…!!」
そこまでだった。
突然わけのわからないことをわめき始めた2人を、関係者が慌てたように連れて行こうとした。
藤「あ、待て!」
そう叫んでも、誰も気づかない。
周りを取り囲むたくさんの黒服が、哀れむようにそっと目を背ける。
升「藤原!」
増「やめろよ、離せ!そこにいるんだよ、あいつがいるんだってば!!」
引きずられるようにして、2人の声が遠ざかっていく。
わずかに聞こえてくるのは、なだめるような、「少し休もう」「わかったから」と言う声。
とても痛々しい光景なのは間違いなかったが、せめてあいつらにだけは認識してもらえて良かった。
心の底からほっとした。でも…
ごめん。余計に混乱させちまったな。
ざわめきはすぐに収まり、場の進行が止まることはなかった。
きっとあの2人はどこかの部屋に押し込められてるんだろう。
会いに行けないだろうか。
空も飛べるし、人もすり抜けられる今の俺なら、壁とかドアも余裕でフリーパスだと思うし。
そして、聞いてみたい。
藤「あいつはどこにいる?」
さっきはあっという間だったし、こっちも緊張してたから、全然そのことに触れられなかったけど。
ヒロや秀ちゃんと当然一緒にいるはずのチャマが、見当たらなかったんだ。
色んな人が行き交う建物の中をぐるぐる巡っているうちに、ようやく2人の姿を見つけることが出来た。
藤「よっ、ヒロ」
増「!?」
升「…!!おまえ、やっぱり…!」
藤「しっ」
唇に人差し指を当てる。
そんなに堂々と“見えない俺”と話さない方がいい。
おそらく2人とも散々、「落ち着け」とか「疲れてるんだよな」とか言われたんだろうから。
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