第5話

「おはようございまーす」

「お、今日早いやん。なんや珍しいなぁ?」

「いや珍しくないですよ!私だってやればできるんです〜」

「ならいつもやればええやんw」

「ゔっ」

部署に入ると、毎朝必ず部長が挨拶してくれる。

……今日はちょっと変なこと言われたけど。


こういう、優しくて気遣いもできる人ってモテるんだろうなぁ……ま、私とは無縁の世界だけど。


「え、なんで俺の方をそんなに見てくるん?顔になんかついとる?」

「いえ……相変わらず端正な顔してますね」

「なんやねん急に……。別にそんなことないと思うで?」

「いやいやいやいやいや。そんなわけないですよ」


絶対モテるでしょこの人。だってモテなきゃ逆におかしい。だってただ苦笑いしてるだけでもモデルオーラみたいな何かがでてるんだもん。

顔よし、スタイルよし、性格良し、仕事はもちろん、一人暮らしらしく家事全般、さらには自炊までできるらしい。

こんな優良物件他にあります???

優しいし自分のご飯まで作ってくれるんだよ??

疲れてる時はすぐ気づいて慰めてくれたりするんだよ??


神かよ。


一家に一台置いておけばなんとー!あなたの生活の全てを手伝い、メンタル面までケアしてくれます!!なんつって☆

え、めちゃくちゃ有能で便利やん。


うちにも欲しいな部長。


「……なんかめちゃくちゃ失礼なこと考えてそうな気がするんやけど」

「きのせいですよーー」

「棒読みやん。やってもう既に悪い顔してもうてんねん」

「……キノセイデスヨ」

「ほんまかいな」


少し笑いながら、そう返してくれる部長。うん、やっぱ有能だわ。

絶対何十回も告白されて、断り慣れてそう。

てかそういえば、部長に彼女いるって話聞いたことないな……そもそも、好きな人いるんだっけ?そういう恋愛系の話一個も聞いたことないな。


「部長って好きな人いるんですか?」

「急やなぁ……。おらんで?」

「え、めっちゃ告白されてそうなのに……?」

「偏見すぎるやろ」

「だって絶対モテるじゃないですか」

「そもそも女性が少し苦手なんよな。やから、あんまり恋とかわからんのや」

「なんでですか?」

「むっかしからなんか媚び売られとってなぁ。ずっと追いかけ回されるし、バレンタインには血や爪入りのチョコ渡してくる輩もおってん。それでちょっと苦手になってもうたんよ」

「なるほど……」


まぁそれもそうか、こんなにイケメンだったら誰でも好きになるわな。

んで、近づきたいがあまりに媚び売ったりするか……。確かにやりそうな人っているよなぁ。

そしてウザすぎるあまりに女性全般が苦手になったと。


「……部長も苦労してるんですね」

「え、逆に俺苦労してないと思われてたん??」

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