第6話

「付き合いたいのかなあ」


「お前だって曖昧じゃねーか」



曖昧っていうか、別に告白されてる立場でもないし。私の場合あくまで願望の話じゃない?



「分からないんだよね。相手を好きでいる間は自分を好きでいられるっていうか。自分のこと見てもらうためならなんでもしそうな自分。みなぎるパワー!」



「相変わらず病んでんのか、それとも馬鹿?」


「わあヒドイ。バカじゃないし」



今更ながらにソファーに座りなおして、一口飲んで苦かった缶コーヒーを再び口にする。



「にがい……」


「絶対馬鹿。ウマシカ」


「はいはい、もうそれでいいよ。ロウと付き合ったらめんどくさそう」


「はー、なんでお前はそういうこと言うかなー」


「……」



違う。

言いたかったことはそうじゃない。


なんか、いやだな。



ロウの家に私もう居られなくなるのかな。家賃とか光熱費とか半分出して一緒に住んでるのに、やっぱ邪魔になるよねー。


……ね。


ネガティブ。ね。



「ごめん、」


「急になんだよ怖えよ」


「あんたがウマシカだよばーか!」


「は!? 情緒どうなってんのお前!?」




どうなってんだ本当。

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