第5話
延長で時間が伸びた野球を真剣に見ている。もうそろそろ終わりらしい。野球のルールは知らないけど、なんとなくそんな感じ。
見ても分からないから面白くないし、ソファーから離れようと立ち上がる。
途端、私の左腕が掴まれた。行かせるもんか、と色白な右手が私を止めた。
いやまじで肌白過ぎてやばいよ。
そういや以前、夜中に腕の辺りがモゾモゾすると思って目が覚めたらこいつの手で、お化けかと思って本気で焦ったことがあった。青いライトを灯して寝るから、余計に……青白くて。
一緒に寝ること、最近ないけど。
「……なあ」
「なに?」
「俺さ」
「なに」
「告白? されたんだけど」
「嘘!?」
「いやこれは本当の話」
これはってなんだこれはって。
普段どんだけ嘘ついてんだ。
「ロウ誰かと付き合うの?」
「どうかな」
「……なにその曖昧な態度。早く返事してあげなよ。保留ってすげえ腹立つよね」
「分かってるって」
「ふうん」
付き合っちゃうのか。ついに。
ついに? いやいやこいつ彼女の一人二人三人四人……ああクズだった。そういえば。
彼女の域にも入れない私。
告白する度胸もない私が一番駄目だ。
「葉月」
「なーに」
「お前は好きなやつと付き合いたいとか思わないわけ?」
「は? え? どういう意味」
好きな人がいるということをなぜ知っているんだこの鈍感が。
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