第26話

……その゙余計な一言゙に、以前の飲み会での2人を思い出し、思わず肩を抱く手に力が入る。





「私、飽きませんよっ。」


『――えっ、』




――その時不意に放たれた言葉。


彼女はいつの間にかこちらに体を向けていて、力の入った瞳で俺を見つめている。




「私、何年斗馬先輩の事好きだったと思ってるんですか。」


『……、』


「大学も一緒の所に通いたくて、先輩の事追いかけてきた位、先輩の近くにいたかったし、」


『……、』


「で、ですから、それ位先輩の事を好きなので、」



飽きる事なんて、ありません…と、段々声が小さくなっていく中でも、彼女ははっきりと俺に告げた。



その顔はさっきよりも赤みを帯び、触れたら火傷をしそうで


俺を見つめていた瞳は、垂れ下がってしまった頭のせいで、見たいのに見えない。



『そ、そうか……。』



こみ上がる照れと嬉しさと愛おしさの感情が邪魔をして、上手く言葉が紡がれない。





あぁ、ヤバいな。


今、無性に郁美にキスしたい。


そう言ったら、君は顔の赤さの限度を越して、恥ずかしさの余りそれを見せてはくれないだろうな。






高校時代にこいつの気持ちに気付けなかった分


想いが重なった今


少しでも、郁美が幸せを感じてくれるように




『昼飯、食いに行くか。』


「はいっ!」




傍にいて大切にすると、誓うよ。







◇早川郁美×藤川斗馬◇

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