第20話
「…ごめん、ごめん…。置いていって、一人にして…ごめん…。」
遺体安置所で静かに眠る、あたしの愛しい人。
細い指を握ると、当たり前だけど冷たくて咄嗟に手を離してしまった。
血色のいい湊の唇は見る影もなく青白くなっていた。
あぁ、もう二度と“茅子ちゃん”ってその唇が動くことはないんだ。
―――――もう湊はどこにもいない。
「……俺さ、本当に茅子ちゃんのこと好きだよ。だから茅子ちゃんが俺の後を追って死のうとしたことを知った時、悲しかったけどちょっとだけ嬉しかった。」
少し腕の力を緩めてあたしの首筋に埋めていた顔をあげた湊の頬にはいくつもの涙の筋が通っていた。
「……あぁ、俺、茅子ちゃんに愛されてるんだぁって。」
「…当たり前じゃん。湊がいないと生けてけないよ、あたし。」
「嬉しいこと言ってくれるじゃん。」
照れ臭そうに笑った湊は大粒の涙をこぼし続けるあたしの瞼にチュ、とリップ音を響かせてキスをした。
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