第51話

「で、これがこうなる」



わ、わかりやすい!!!!


始まった勉強会はとんでもなくスムーズに進んでいた。

最初こそ、本当に大丈夫なのかと緊張と不安でいっぱいだったが、勉強が始まれば、途端にそんな気持ちはどこかへ飛んでいき、ただ彼の解説に耳を傾けていた。


なんせ、本当にわかりやすいのだ。

人に勉強を教えるには、その倍理解している必要がある、と聞いたことがあるが、田端くんはどうやら本当に頭がいいらしいと今更ながら再確認する。



「すごいね。先生よりわかりやすい」


「そう言って貰えると嬉しいな」



お茶をチビチビと飲みながら、ちらりと田端くんをみる。

彼も同じようにお茶を飲んでいるが、ただそれだけの動きだというのに絵になっている。


ふと、田端くんは「勉強って、意外と楽しいね」と呟いた。



「え?」


「勉強だよ。俺、今まで勉強好きじゃなかったんだ。寧ろ嫌いだった」


「え、そうなの!?」


「うん。他にやることがないからやってたけどね。でも、品川さんとの勉強なら楽しいよ」


「…」


「それに、品川さんに勉強教えられるなら、今までちゃんとやっててよかったって思えた」



頬を緩めて嬉しそうに笑う田端くん

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