第46話
そうして田端くんが教室へと帰って行ったあと、そわそわと何故かしている夏樹へ目を向ける。
「どうしたの、さっきからそわそわして」
「いや、だってアンタ。勉強会って」
ご飯を食べているときも夏樹は何か言いたそうにしていた。
いざ聞いてみれば夏樹はもごもごと口を動かし、意を決したように言う。
「勉強会、田端くんの家でやるんじゃないの?」
「え?」
「付き合ってる男女がひとつ屋根の下…勉強会の項目は気づけば保険体育へ移行し…」
「いや流石にないでしょ」
一人はわはわと妄想を膨らませる夏樹に白けた目を向ける。
「その辺の図書館とか、そういうところでやるでしょ」
「甘いわね。男は狼よ。あの手この手で好きなあの子を手籠めにしようとするわ!」
「それ犯罪だから」
「いい?絶対に気を抜くんじゃないわよ!少しでも隙を見せた瞬間バクッといかれるわ!」
「狩りかよ」
「恋は狩りよ!!!」
「はいはい」
ヘンなスイッチが入ったらしい夏樹は興奮したように荒々しく声を上げた。
だが私には到底、田端くんがそういうことをしてくるようには思えなかった。
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