第28話

初デートから、私と田端くんは数回春休みが明けるまでデートを行った。全部楽しかった。

私と田端くんの交際は、まだ一か月しかたっていないが、それでも良好だった。

そうして春休みが明け、二年生に上がった。



「クラスまた別だね」



朝、ばったり校門前で出くわした為、田端くんと一緒にクラス表を見る。

結果は御覧の通り、別のクラスだった。

残念そうにする田端くん。私も少しだけ残念だった。

同じクラスだったら、多分一年の頃よりずっと楽しい学校生活が送れたかもしれないのにな、なんて。


途中の廊下まで一緒に行って、別れ、私は自分の新しい教室に入る。



「むつきむつきむつき!!」


「うわ」



入るなり、肩を掴まれた。夏樹だった。

さっきは確認してなかったがどうやら彼女も同じクラスだったらしい。

いつもなら朝の挨拶を交わして雑談に入るのだが、今の彼女はどこか興奮したように荒々しい。

その気迫に押され、私はたじろいだ。



「な、なに」


「アンタの彼氏、田端くんだったの!?言ってよ!」


「ああ、そういえば言ってなかったっけ」



春休みに入ってすぐ、夏樹には「彼氏できた」という報告はしたが、それが誰なのかは言っていなかったなと思い出す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る