第26話

そんなこんなで始まった初デートだが思っていたよりかなりラフだった。

適当にデパートをぶらぶらしたり、ゲームセンターで遊んだり、お昼には定食屋でご飯を食べる。


正直デートコースとしてはどうなんだ?と思うような場所ばかりだったが、それがかえって私にはよかった。



「本とか好きかな?」


「うん。よく読むよ」



そして現在。私たちは本屋にいた。



「品川さんは普段どういう本読むの?」


「普通に小説とかだよ。太宰治とか」


「渋いね」


「田端くんはそういうの読んだりしないの?」


「…あ、はは。難しい話読んでると眠くなっちゃって」


「ああ、あるあるだね。じゃぁ普段何読んでるの?」


「俺は小説より漫画の方がよく読むかな。品川さんは漫画読んだりする?」


「実はあんまり読まないんだ」


「……そっか」



私の返答に田端くんは少ししょんぼりとする。

そんな彼の肩をポンと叩く。



「だからおすすめあるなら教えて欲しな」


「え?」


「田端くんが好きなもの、読んでみたいし」



いうと田端くんは顔を明るくさせ、数冊の本を本棚から取り出す。

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