第12話

「待たせてごめんね」


「そんなに待ってないよ」


「よかった」



放課後

お互い教室が離れているため、いつも一緒に帰るときは下駄箱の前で、ということになっていた。

田端くんのクラスの担任は話が長いことで有名で、自ずとホームルームが終わるのも遅い。

それを知っているから多少遅くても気にしないのに、田端くんは律儀に謝って来るのだ。



「それじゃいこっか」


「うん」



歩き出す田端くんの後ろをついていく。

ふと、田端くんの手が目についた。

日焼け知らずの白い肌。細くて長い指。でも男の子らしく骨ばってごつごつしている手


図書室で他の女の子の手を握る…というか掴んでいたけど、私は手を繋いだことないな…。


告白されたのが春休みの一日前だったから、当然春休みにはデートを何度かした。

正直デートというよりただ友達と遊びに行く感覚に近かったことを覚えている。

多分私が初デートだったから加減してくれたんだと思う。

その時も今みたいに手は繫がず、話だけして歩く、という感じだった。



「……」



男の子の手ってどんな感じなんだろう。

交際から一応二か月半は経過しているわけだし、デートもそこそこしているわけだから、手くらいは繋いでみてもいいかな?


好奇心が顔を出し、どんどん興味が湧いて来る。

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