第5話

「だぁからやめとけって言ったのに」


「だ、だって!本気だって言ってきたからぁ!!アタシのこと本気で好きだって!!お前だけだからってぇ!」


「なにそれ詐欺師の手法?」


「詐欺いうなぁ!」



うわぁぁぁんと泣き崩れる夏樹を慰める。



「うっ、好きだったのにぃ、好きになってたのにぃ!し、信じてたのに…酷いよぉ…っ」


「で、別れたの?」


「別れたに決まってるでしょっ!?!ビンタといっしょに別れ話突きつけてやったわよっ!」


たくましいことで。じゃぁその勢いのまま次の恋探そ。ね?」


「……気軽に言わないでよ…」


「えぇ?」


「………睦月はいいよね。誠実で優しい彼氏がいて」



夏樹はずびずびと鼻をすすりながら言ってくるが、その誠実で優しい彼氏はさっき図書室で知らない女子と思いっきり浮気してたと言えるわけもなく

私は曖昧な笑顔を浮かべる。


田端たばたみなと


頭がよくて運動神経もよくて顔もいい。そんなすごい子

そして、高校一年生の終わり。終業式の後、私に告白してきた男の子だ。

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