第7話

「学校やめちゃえば、良いのにね」


 男の冗談とは程遠いほど、張り詰めた空気に心臓をぐっ、と後ろから掴まれているような感覚に襲われ、逃げたい衝動に駆られるがいつもの事だと自分自身に言い聞かせ、なんとか我慢する。


「ご飯中は……あまり話したくないんです」


 そう何気ない一言を言って、いつもなら流せるのに次の言葉に流石に血糖値が上がってしまう。


「養ってあげるしさ」


 お箸を机に綺麗に揃えて置いて、キッ、と後ろに向かって睨みつけると男は余裕そうな笑みを浮かべて私の頭を大きな骨ばった手でゆっくりと撫でる。


 だが、私も尽かさず言葉を返した。


「借金の取り立てに来ている、怖い人はどこの誰ですか……」


 ムカついて、カッとなって言葉にしたつもりが、自分自身に追い打ちをかける一言になってしまったらしく、酷く胸が傷んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る