第26話 3人でお風呂
酒場を後にした俺たちは宿に戻ってきた。
今朝までは2人だったのが3人に増えていたので、さすがに部屋は変更となった。
3人部屋という都合のいい部屋はないため4人部屋だ。
「それなりに広いな」
これなら湯舟も問題なくおけそうだ。
「じゃあ、お風呂に入るか」
「今日もお風呂ですね!」
俺の言葉を聞いたアイナが目を輝かせる。
彼女は昨日一昨日とお風呂に入って、すっかりその魅力に取りつかれてしまったらしい。
「おふろ? それはなんだ?」
「見ていればわかりますよ」
困惑するラティカにアイナが告げる。
俺は『アイテムボックス』から湯舟を出して、宿の床に置く。
その時に重力魔法で重さを軽減することを忘れない。
「うーん。3人だと少し狭いか?」
俺が作った湯舟は、一般の家庭にあるものより少し大きい程度だ。
3人を湯舟の中に入れることはできる程度の容量ではあるのだが、足を延ばしてゆっくりと、とまではできない。
それじゃあダメなんだよ。
お風呂っていうのは、膝をかかえてはいるものじゃない。
狭い風呂なんて風呂じゃない。
足を延ばしてゆっくりと入る。
それができてこそのお風呂なのだ。
俺は土魔法を使って湯舟の形を変えていく。
昨日まで使っていたサイズの2倍くらいのサイズに……。
かなり大きくなってしまったので、ベッドを動かして端に寄せ、お風呂用のスペースを作る。
ここに水魔法で出したお湯を張る。
「水浴びか? 我も湖でしたことはあるが。いやこれは湯か……」
「とっても気持ちいんですよ!」
「じゃあさっそく3人で入るか」
俺たちは服を脱いで、全員で湯舟につかる。
「ふあー」
「いいですねー」
俺とアイナは1日ぶりの極楽にため息をついた。
「ふおおおおおおお。これは、いい……」
ラティカと言えば、初めて風呂に入ったアイナと同じように、お風呂の気持ち良さに蕩けていた。
「あぁ~~~。気持ちいい~~~~」
「ですよね。お風呂最高です」
「あ~~~、もう、何百年も生きていて一番今が気持ちいい」
「そんなに?」
「そんなにだ。我のこれまでの生涯で、これほどの心地よさにであったことはない」
「やっぱお風呂ってすごいんだな」
異世界ドラゴンも納得の気持ち良さ。
それがお風呂である。
しかし、お風呂そのものが持つ心地よさとは別に、ここにはそれ以外の素晴らしさがある。
ここにはアイナとラティカがいて、一緒にお風呂に入っている。
つまりは混浴だ。
「これはこれで男の夢だよな……」
アイナは可愛くて、胸は大きい。
ラティカも美人で、胸はさらに大きい。
そんな二人と一緒にお風呂に入って裸の中となっている。
これだけでも最高すぎるな。
「至福の光景だな。罰が当たらないだろうか」
「なんだ、主殿。我らの体をまじまじと見て」
「ご主人様ならいくらでも見てかまいません。いいえ、見て頂けるととっても嬉しいです」
「我の体も見てかまわんぞ? そうだ。もっと近くにいってやろう」
「私も行きます」
せっかくみんなでゆったり入れるように作ったのだが、二人がこっちに寄ってきてしまった。
スペースは空いているのに、ぎゅうぎゅう詰めになる。
正直悪い気分じゃない。
というか嬉しい。
アイナは俺の左側に、ラティカは俺の右側に寄ってくる。
「抱き着いてもかまいませんか?」
「もちろんいいよ」
「我も抱き着こう。腕を借りるぞ」
アイナは俺の左腕を取ってピトリと抱き着き、ラティカも俺の右腕を抱きしめる。
右と左から柔らかい感触が押し付けられる。
女性陣二人から挟まれて密着されて、サンドイッチの状態だ。
俺の両腕は二人の胸にぎゅーっと押し付けられたり挟まれたりしている。
手はアイナは恋人つなぎで握り合っているし、ラティカは時おり恋人つなぎになって、かと思えば太ももで手を挟んでくれていた。
ラティカが耳元に息を吹きかけてきたり、アイナは首筋にかるくキスをしてくる。
最高だ。
さっきまでとは別の意味で極楽だ。
「心地よいか?」
ラティカが耳元で囁いてくる。
「すっごくいい……」
「そうかそうか。主殿が気持ち良いようで、我も嬉しい。どうだ? 主殿が望むならば、毎日してやろう」
「毎日か。それは……最高だな!」
ラティカの提案に、一も二もなくうなずく。
この二人の至福のサンドイッチが毎日行われるって、もうそれだけで最高の悦楽だろう。
世界中のどんな貴族や王様にすら得られない体験だ。
「なあ、主殿。我は貴殿に感謝している。数百年の時を洞窟の中で孤独に過ごした我を解放してくれた。自由をくれた。我は貴殿に全てを捧げると誓ったのだ」
「うん」
だからこそ、彼女は俺と魔獣契約をしたのだ。
「だがな、主殿。我は別に感謝だけで体を許す女ではない。無論、契約をした以上は命令があればそれをするかもしれんが……こうやって自主的にすることはない。それに、相手がどうすれば喜ぶのか考えて実行することも、な」
「ええと。それって……」
「我のこれは感謝だけではないということだ。それは言葉にするなら、愛とか恋とか、そういう類のものだ。うむ。今口にしてはっきりわかった。我は主殿に恋愛感情を抱いておる。好きだ」
ラティカは告白をした後、ぎゅううううと俺の右手を両手で包み込むように握った。
「好きだ。主殿。好きだ。好きだ。好きだ……」
お湯の中で、彼女は指を絡めてくる。
「これでもそれなりの年月を生きてきたがな、こんな気持ちになったのは初めてだ。何百年も愛を知らずに生きて来たのに、たった1日で男に惚れこんでしまうとはな。自分でも驚いておるそれとも、こんなちょろい女には呆れてしまうか?」
「ラティカさんはちょろくありませんよ。だって、私もそうですから」
ラティカの反対側にいるアイナも、俺に指を絡めてくる。
「私もご主人様に会って1日で愛してしまいました。ご主人様はそういうお方なんです。強くて、優しくて、頼りになって……救ってしまう。心を救ってしまうんです。カッコいいご主人様に救ってもらったら、女は惚れてしまうに決まっています。だから、ラティカさんがちょろいわけじゃなくて、皆そうなってしまうんです。私とラティカはその最初の二人だった」
俺の顔を見ながら滔々と語るアイナ。
「褒めすぎだよ。気恥ずかしいな。好きだって思ってくれるのは嬉しいけどね」
「主殿は我が好きか?」
「好きだよ。好きじゃなかったら、一緒に風呂に入ることはない」
「……! 嬉しい……!」
抱きしめた俺の腕を、さらに強く抱きしめるラティカ。
「アイナ」
好きだと言ってくれたのは、ラティカだけじゃない。
アイナもだ。
なら、彼女にも思いを返さなければいけない。
「好きだ」
「ご主人様……!」
「二人の女性とそういう仲になりたいと思うのは、だらしないと思われるだろうけど――」
「ご主人様はそれでよいのです。ご主人様は、一人の女性が独占できるお方ではないということ」
「我は気にせんぞ。一夫多妻。いいではないか。ドラゴンでもよくあることだぞ」
「その生態は初めて知ったな」
「実力主義なのだ。強い雄は全てを手に入れる。宝も女もな。主殿は強いから、他に女が寄ってくるのも不思議ではない。そういうものだ」
それは、ドラゴンであるがゆえの価値観なのだろう。
「改めて言うよ。俺は二人が好きだ。だから恋人になりたいと思っている。受け入れてくれるか?」
「はい」
「もちろんだ」
二人は左右から抱き着きながら、俺の言葉に頷いた。
●
改めて二人と恋仲になり、風呂からあがった。
「じゃあ、その、今晩は3人でしようか」
「はい……!」
「3人でか? 我はアイナ殿に先を譲ってもよいぞ? これでも先輩を立てるタイプなのでな」
「い、いえ、その。私的にも、ラティカさんが一緒にいてくれると嬉しいかな……」
「? どういうことだ?」
「始まってみればわかります。その、すごいですよ……?」
「ふっふっふ。アイナよ。我を何だと思っておる? ドラゴンだぞ? いくら主殿がつよかろうと人間の体力でドラゴンに勝てるわけがないだろう?」
「そう、なんですかね……?」
アイナはちらりと俺の方を見る。
確かに俺の持つスキル『性豪』はそっち方面では無尽蔵の体力を誇るが、それはあくまでも人間相手の話だ。
相手がドラゴンであるラティカならば、俺が先に精魂尽き果てる可能性も大いにある。
「わかった。ラティカ。俺も本気で相手をしよう」
「その意気よ。我も本気となろう。覚悟しろ、主殿。ドラゴンの底力というものをみせつけてやろう」
そして、初めての3人の夜が始まった。
そして一晩明けて、朝。
「こんなはずでは……。われはどらごん。にんげんより、たいりょ……」
それが最後の台詞となって、ラティカは4回目の気絶をした。
本気で相手をすると決めた以上、1度の気絶ですませるつもりはない。
気絶と覚醒を繰り返させて、ラティカを快楽の渦に一晩閉じ込め続けた。
しかしすごいな。
初日にアイナとやったときには、10回以上は気絶していたのが、彼女は4回で済むとは。
ちなみにアイナは、体力を気遣って今日は1回の気絶で済ませている。
「それにしてもさすがはSランクのスキルだな。ドラゴンに勝利するなんて」
『性豪』のスキル。
それを持った者は夜の王者となる。
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