第17話 アイナと冒険に行く


 物資をそろえた翌日、俺とアイナはギルドで依頼を受注して魔物退治をしに森へとやってきた。


「今日はアイナに魔物を倒してもらう。アイナの実力なら、大抵の敵は問題ないはずだ」


「はい!」


「とはいえ予想外なこともあり得る。ピンチになったら俺が敵を倒すから、安心してくれ」


「かしこまりました。ですが、ご主人様にお手を煩わせるわけにはいきません。私一人でも倒せるように頑張ります」


 アイナは張り切っている。

 冒険者ギルドで登録をしてから三日目。

 ようやく冒険者らしいことができて興奮しているのだろう。


「ご主人様」


「わかってる。いるね」


 少し離れた先に魔物がいる気配がする。


 『剣聖』のスキルを得てからこういった直感が鋭くなっている。

 アイナもスキルのおかげで直感が働くようだ。


 『マップ』を使ってどんな敵がいるのか確かめてもいいが、今回はアイナ主導で魔物を倒すのが目的だ。

 出来る限り俺は手出ししたくない。


 ここは何もせず、見守ることに努める。


 音を立てず二人で静かに歩く。

 その先には、一体のオークがいた。


 オークは豚の頭をした2メートルを軽く超える背丈を持つ巨漢だ。

 背が高いだけでなく、体には筋肉も贅肉もついているから横にもデカい。

 お相撲さんを一回りか二回りほど大きくしたような体型だ。


 筋肉がある分もちろん力は強い。

 簡単に倒せる相手ではないと言われている。


 新人の壁とも言われており、オークに勝てずに死亡したり怪我で引退することになった新人冒険者は多い。



 Sランクスキルをもつ俺は勝つことができた。

 『神拳』のおかげで俺は強くなっていたから、一発殴っただけで終わった。



 では、アイナはどうだ?



「行きますね。ご主人様」



 小さくつぶやき、アイナはオークへ向かって駆けだす。

 その疾走は早い。


 オークがアイナに気づくころには、もうすでに奴はアイナの剣の間合いに入っていた。



「はぁっ!」


 

 一閃。


 アイナが剣を振るや否やオークの首は断ち切られ、哀れなオークは一瞬で絶命した。


 ドシン、と残った肉体が倒れこむ音が聞こえる。


 やれやれ。

 心配は杞憂だったな。



「やりました。ご主人様!」



 オークの死亡を確認した後、アイナは俺に向かって駆けだして来る。



「私、魔物を倒しましたよ!」


「ああ。見てたよ。よく頑張ったね」



 なでなで。


 なでて欲しそうだったから、お望みの通り頭をなでてあげる。


「瞬殺だったな。オークってのはそれなりに強い魔物のはずなんだが」


「ご主人様のおかげです。ご主人様が素晴らしい武器を与えてくださったから――」


「いやー武器じゃなくてアイナの実力が高いおかげだと思うぞ」


 確かに武器はいいものを渡した。

 とはいえしょせんは市場の武器屋で買っただけの、普通の域をでないものだ。


 それに例えどんな名剣を渡したところで、使い手が弱ければ魔物を倒すことなんでできない。



「オークを倒したのは間違いなくアイナの実力だよ。それは誇っていいことだ」


「ご主人様に褒めてもらえた。嬉しい……! 好きです……!」


 こちらにギュッと抱き着いてくるアイナ。


「アイナ。街中ではいいけど、ここではそういうのはやめておこう。魔物もいる危険な森の中だ」


「は、はい! そうですよね。申し訳ございません」


 パッとアイナは俺から離れる。


「あ、あの。その代わりと言っては何ですが。帰ったら、その……」


 おずおずと言い出すアイナ。


 何が言いたいのか何となくわかるので、笑顔で返答する。


「ああ。たっぷりと甘やかしてあげるからな」


「はい! お願いします!」



 アイナが殺したオークの死体を『アイテムボックス』の中に入れて回収する。


 その後も俺たちは次の魔物を倒すために歩き回ることにした。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


コメントで『一時帰宅』を使ってないのではという質問がありましたが、レースケは隙を見つけては『一時帰宅』を使用して毎日地球に帰っています。


11話~14話では、アイナが訓練をしている間に一回地球に帰っていました。


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