第2話 階段は1段ずつ登るもの

階段が果てしなく続き、その上に鳥居が見えるといった景色。

あの鳥居をくぐれば、きっとご利益があると考えながら登る。

傾斜がきつくて、石でできた階段だから、足はすぐに痛くなる。

それでも、結局階段は1段ずつ登るしかないんだ。


永遠を願っても、それは架空の世界でしか存在しない。

遅かれ早かれ、この心臓は止まり、このからだは朽ちていく。

そのときを恐れているとしても、いずれ訪れてしまう。

階段を登れない時が来る。

階段から落ちるときも来る。


それでも、階段は10段一気に登れない。

いまここにひとつの階段があって、すこし先にもうひとつの階段がある。

その先は視界が霞んでよく見えない。


いま、ここで流れている素敵な音楽。

いま、ここにある美味しい食べ物。


そういったものを、ひとつひとつ、たいせつにすること。

食べるときは食べることだけを、歌うときは歌うことだけを、考える。


それが永遠に近づくひとつの方法なのかもしれない。

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