第5話 鏡の中の真実!心の弱さを乗り越えて

リリィたちがルミナスの塔で目の前に現れた「裏切りの者」の試練を受けることになった。彼らの絆を試すという試練は、彼女たちにとって想像を超えるものだった。だが、仲間を信じ、どんな試練にも立ち向かう覚悟を決めたリリィたち。その前に立ちはだかるのは、恐ろしいほどに現実的な「鏡の試練」だった。


「これが私たちの試練…?」ナナが震える声で言う。


鏡の中に映し出されたのは、彼女たちそれぞれが心の中で恐れていた「最も嫌な自分」だった。リリィは、自分が無力で仲間に迷惑をかける存在だという恐怖を抱えていた。ユリは、誰にも理解されない孤独を感じる瞬間を思い出していた。サラは、どんなに頑張っても期待に応えられないことを恐れていた。ナナは、周りに流されてしまい、自分を見失うことを恐れていた。そしてエリスは、自分の冷たさが誰かを傷つけることを心から恐れていた。


それぞれが抱える弱さを鏡の中で見せられた瞬間、リリィたちは息を呑んだ。


「これが…私たちの恐れ?」リリィが声を震わせながら呟く。


鏡の中で、恐怖の具現化が彼女たちを嘲笑うように笑った。そこには、リリィが一度も見たことがない自分が映し出されていた。無力な自分、誰かに頼ることしかできない自分、仲間に迷惑をかける存在──それは彼女が深層で感じていた恐怖そのものだった。


「リリィ…」ユリが静かに呼びかける。リリィはすぐに目を上げると、ユリの瞳に映るのは自分ではなく、リリィが恐れていた「弱い自分」だった。


「これをどうやって乗り越えればいいの?」リリィが訴えるように声を上げると、ユリはその恐怖に対して微笑んだ。


「リリィ、私たちは…一緒だよ。」


その言葉にリリィは力強く頷いた。彼女の心の中で、不安や恐れが少しずつ薄れていった。仲間と一緒なら、どんな恐れにも打ち勝つことができると信じることができた。


「その通りだ。」鏡の中から、裏切りの者の声が響いた。「だが、君たちは一人ではない。しかし、この試練は、君たちが持つ『絆』の力だけでは乗り越えられない。君たち自身が、どれだけ恐れを克服できるか、それが試されるのだ。」


リリィたちはそれぞれの恐れを見つめ直し、そこから一歩踏み出す決意を固める。鏡に映る自分の姿をじっと見つめてみると、怖くて動けなかった自分が、今の自分に変わり始めていた。


「私は…こんな自分が嫌いだと思ってた。でも、私は今、この仲間と一緒に生きている。私たちが一緒なら、どんな恐れも乗り越えられる。」リリィがそう心の中で誓い、目を閉じてから再び鏡を見た。


その瞬間、鏡の中の「弱い自分」は消え、代わりに力強く微笑むリリィの姿が映し出された。リリィは深呼吸し、その手を鏡に伸ばす。すると、鏡の中の自分が手を重ね合わせ、心の中の恐れが消えていくのを感じた。


「私たちは…怖くない!私たちの絆は、どんな困難も乗り越えられる!」リリィが叫んだその瞬間、鏡が光り輝き、周囲の空間が一気に変わった。


鏡の試練が終わると、リリィたちの前に浮かび上がったのは、光り輝く「魔法の歌」の源だった。それは、リリィたちがこれまでに得た力を一層強化する魔法の力だった。試練を乗り越えた証として、彼女たちに与えられたのは、新たな歌の力だった。


「これが、私たちの力…」リリィが呟くと、ユリがにっこりと笑った。


「これで、もっと強くなれるね。」


「うん。」リリィが自信を持って答えた。「私たちの歌で、もっとたくさんの人を救えるんだ。」


その時、鏡の中から「裏切りの者」の声が再び響いた。


「君たちが恐れを克服したことで、次の試練を乗り越える力を得た。しかし、この先の試練は、もっと大きなものになるだろう。君たちの絆が試される時が来る。しかし、君たちが本当に世界を変える力を持っているか、見極める時が来る。」


その言葉に、リリィたちは一瞬、不安を感じた。しかし、彼女たちはもう一度互いに目を合わせ、力強く頷き合った。


「どんな試練が待っていても、私たちは絶対に一緒だよ。」ユリが言った。


「そうだね。」リリィが答える。「私たちは、どんな困難も乗り越えてみせる。」


そして、リリィたちは新たな力を手に入れ、次の試練へと向かう準備が整った。その先に待つ試練がどれほど過酷であろうと、彼女たちの絆があれば、どんな壁も打破できると信じて。


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