第4話 絆を試す者たち!裏切りの影、信じ合う心
リリィたちが干ばつを乗り越え、街に命をもたらす力を証明した後、彼女たちの間には新たな絆が生まれていた。しかし、同時に、彼女たちの冒険には予想もしなかった試練が待ち受けていた。
数日後、リリィたちは次の試練に向けて旅を続けていた。彼女たちは次の目的地、「ルミナスの塔」へと向かっていた。塔の中には、魔法の歌をさらに強化できる秘密の力が眠っていると言われており、それを手に入れることで、リリィたちの歌の力はさらに強大なものになるはずだった。
「ルミナスの塔か…。どうしてこんなに遠くにあるのかな。」ナナが少し疲れた様子で呟く。
「でも、塔に行けばきっと、私たちが次に進むための力が手に入るんだよね?」ユリが明るく言うと、リリィは頷いた。
「うん、そうだね。あそこには私たちの力を引き出すものがあるはず。」
しかし、リリィは心の中で、少し不安を感じていた。これまでの試練で彼女たちは一丸となって乗り越えてきたが、この先に待っている試練がどんなものなのか、正直なところ予測がつかなかった。
「みんな、大丈夫だよね?」リリィが声をかけると、エリスが静かに答える。
「私たちは一緒だもん、何があっても。」
その言葉に安心しつつも、リリィはまだ心のどこかで、何か大きな試練が待っているような予感を感じていた。
ルミナスの塔は、夜空にそびえ立つ巨大な建物で、どこか神聖な雰囲気を漂わせていた。塔の周りは薄暗く、冷たい風が吹いている。リリィたちはその前に立ち、息を呑んだ。
「ここが、ルミナスの塔…」リリィが小声で言うと、ユリが胸を張って答えた。
「絶対に、私たちの力になる場所だよ!」
塔の扉を開けると、内部には無数の階段が続いていた。空間は広く、壁には古代の魔法の刻印が刻まれている。そこには、リリィたちがこれまで見たことのない魔力が流れ、空気がひんやりと冷たかった。
「すごい…まるで異世界に迷い込んだみたい。」サラが目を輝かせながら言う。
だが、エリスは少し不安げに周囲を見渡していた。「何か、嫌な予感がする…」
その言葉を聞いたリリィが一瞬、視線を細めた。その直後、塔の中で不気味な音が響き渡り、扉が音を立てて閉まった。
「うわっ!」ナナが驚いて後ろを振り返る。
「何が起きたの?」ユリが警戒しながら言うと、突然、塔の中央から低い声が響き渡った。
「よく来たな、選ばれし者たち。」
その声に導かれるように、リリィたちは塔の最上階へと足を進めた。そこには、巨大な鏡のようなものが浮かび上がっていた。その鏡は、まるで生きているかのように揺れ動き、リリィたちの姿を映し出していた。
「これが、ルミナスの塔の力?」リリィが呟くと、その鏡の中から、突然、ひとりの男が現れた。
その男は、黒い衣装を身にまとい、冷たい笑みを浮かべていた。「私は、『裏切りの者』。君たちの力を試させてもらう。」
リリィたちはその言葉に驚き、身構えた。
「裏切りの者?」ユリが反応する。「何を言っているの?」
男は鏡の中から歩み出し、リリィたちの前に現れると、冷たく言い放った。
「君たちの歌が、いずれこの世界を支配する力となる。しかし、力を持つ者は、必ず裏切りの運命を背負うことになる。君たちが絆を保っていられるか、それとも互いに裏切り合うか…それを試させてもらう。」
その言葉に、リリィたちの心は一瞬、ざわついた。まさか、彼女たちが今、絆を試される時が来るとは思ってもいなかったからだ。
「私たちが…裏切り合う?」エリスが声を震わせながら言う。
男は冷笑しながら続けた。「この世界において、絆は常に試練にさらされる。君たちが信じているものが、いずれ裏切りに変わる時が来る。そのとき、君たちが本当に一つになれるか、試すのだ。」
リリィはその言葉を胸に刻みながら、仲間たちを見渡した。みんなが不安そうな表情を浮かべているが、それでもリリィは一歩前に踏み出す。
「私たちは…絶対に裏切らない!私たちの絆は、誰にも壊せない!」リリィが強く言うと、ユリも、サラも、ナナも、そしてエリスも、それぞれの思いを込めて頷いた。
「うん、絶対に裏切らないよ!」ユリが力強く言うと、サラが笑顔を見せながら続けた。
「私たちはずっと一緒だよ!」
男はその言葉を聞いて、少し驚いたように目を見開く。そして、鏡の中から何かを取り出すと、それをリリィたちに向けて差し出した。
「それが君たちの試練だ。この鏡の中で、君たちの最も恐れる姿が現れる。君たちがそれに打ち勝てば、次の力を授けよう。だが…もし、絆が試され、壊れてしまったら、君たちの力は永遠に失われる。」
リリィたちは一瞬、震えるような不安を感じた。しかし、それでも彼女たちの心は一つだった。
「私たちは、絶対に乗り越える!」リリィが力強く言った。
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