第6話 心の闇と向き合う!試練の先に見えた新たな力
リリィたちは、魔法の歌の力を得るために、数々の試練を乗り越えてきた。しかし、今回の試練は、今までとは少し違う。彼女たちが次に向かう場所、それは、今まで経験したことのないような試練が待ち受ける場所だった。
ルミナスの塔の中、深い迷路のような廊下を進むと、リリィたちは重い扉の前に立ち止まった。扉の表面には、古代の文字が刻まれており、その文字が青く光り、何か不穏な雰囲気を漂わせていた。
「ここが、最後の試練の入口だよね?」ナナが不安げに声を漏らす。
「うん…きっと、何かが待ってる。」リリィが気を引き締めると、ユリが元気よく言った。
「怖いこともあるかもしれないけど、私たちが一緒なら、どんな試練でも乗り越えられるよ!」
その言葉に、みんなが少しだけ力を得たように思えた。リリィも頷き、扉を開ける。
中に入ると、突然、視界が白くまぶしくなり、リリィたちは目の前に現れた異様な光景に圧倒される。巨大な鏡が並ぶ部屋、その中央には、まるで無数の自分たちが映し出されているかのようだった。しかし、よく見ると、鏡に映る自分たちは、どこか歪んでおり、表情もどこか不安定で揺れている。
「これ、どういうこと?」サラが怖い顔で言う。
すると、鏡の中から声が響き渡る。
「お前たちの試練は、心の闇を乗り越えることだ。鏡の中に映る自分を見つめ、その恐れを克服しなければ、前に進むことはできない。」
その声がリリィたちを試すかのように続く。
「さあ、心の中で恐れている自分を見つけ、受け入れなさい。それができれば、お前たちの力はさらに強くなるだろう。」
「心の闇を…?」エリスが呟く。その目には不安が浮かんでいる。
「うん…私たち、何かを恐れているのかもしれない。」リリィが静かに答える。
しかし、そんなリリィたちの前に、鏡の中で「他の自分」が現れる。それは、リリィが最も恐れていた「弱い自分」だった。
リリィは目を見開く。鏡の中の自分は、泣いている。そして、そこから伝わってくるのは、これまでの彼女の心の奥底にあった、深い不安だった。
「私は…本当にアイドルになれるのかな?」鏡の中の自分が小さな声で呟く。
その瞬間、リリィの胸に深い痛みが走った。自分でも気づかぬうちに、彼女はその不安をずっと抱え込んでいたのだ。
「私は…みんなに迷惑をかけるかもしれない。」鏡の中の自分が震えながら言うと、リリィはその声に応えるように、心の中で声を上げた。
「違う!私は、絶対に迷惑なんかかけない。みんなと一緒に、どんな試練でも乗り越える!」
その瞬間、鏡の中の自分が静かに微笑み、涙を拭いながら、リリィを見つめ返してきた。
「そうだ…私には仲間がいる。私一人じゃない。みんなと一緒なら、どんな恐れも乗り越えられる。」
その言葉とともに、鏡が砕け散り、リリィの前に現れたのは、明るく輝く光だった。その光は、まるで新しい力を宿したかのように、リリィの体を包み込んでいく。
その力は、彼女が持つ「歌」の力を強化し、さらに深い部分でつながる力を与えてくれた。
リリィはその力を胸に、振り返ると、他の仲間たちもそれぞれの試練を乗り越えていた。
ユリは、自分が「孤独」を恐れていたことに気づき、ナナは「誰かに流される自分」を、サラは「期待に応えられない恐れ」を、エリスは「冷たい自分が傷つけてしまうこと」をそれぞれ克服した。
「みんな…すごいよ。」リリィが嬉しそうに笑うと、仲間たちは力強く頷き返す。
「私たちは、もう怖くない。」ユリが明るく言うと、サラも頷いた。
「私たちは、どんな試練でも乗り越えられる。」ナナが言うと、エリスも静かに微笑んだ。
「これが、私たちの力。」リリィが最後に言ったその言葉には、確かな自信と強さが込められていた。
そして、彼女たちの前には、試練を乗り越えた証として、光り輝く「魔法の歌」の源が現れた。それは、リリィたちの心の絆をさらに強化し、今まで以上に強力な力を与えるものだった。
その後
試練を乗り越えたリリィたちは、再びルミナスの塔を後にし、次なる冒険へと向かう準備を整えた。彼女たちの心は、もはや恐れに支配されることはなく、ただ前を向いて歩き続けることができるようになった。
「私たち、もう何も怖くない。」リリィが言うと、ユリが元気よく応えた。
「うん!これからも一緒だよ、どんな壁だって乗り越えていこう!」
そして、リリィたちはその一歩を踏み出す。その先に待っているのは、さらに大きな試練と冒険。しかし、彼女たちの心はもう迷うことなく、力強く進んでいくのだった。
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