第8話
お店の中に入って案内された席に着くと、友香がいつものように全員分のビールを頼んでくれた。
「で?弟君との久々の再会はどうだった?」
おしぼりで手を拭きながら聞いてくる友香に、締まりのない笑顔を向ければ、皆に気持ち悪がられた。
そんなこともお構いなしの私は、届いたビールで乾杯したあとグイッ!と飲んで喉を鳴らす。
「もうね~、やっばいぐらい格好良く育ってたの!」
「へえ、そう。」
「冷たいぞ友香!もっと反応見せて!!」
「つぅちゃん、写メとかないの?」
「ああぁぁっ!!撮るの忘れた!」
頭を抱えて項垂れる私の背中をバシッ!と叩く友香を、涙目で見つめれば呆れたような溜息を頂いた。
「永遠の別れじゃあるまいし、これからいくらでも撮れるでしょーが!」
「だって今日の流衣は今日しか撮れないんだよ!?」
「知るか!このブラコンめ!」
「ブラコン上等!いえーい!」
すでに一杯目を終えたビールのジョッキを店員さんに渡して、新しく来たビールをゴクゴクと飲んでいく。
「椿さん、ペース早いですよ?」
「いいのいいの!来週からはこんなに飲めないんだから~。」
「そういえばつぅちゃん、保健の先生になるんだっけ?」
「そうよ~。流衣の制服姿楽しみ。ムフフ…」
「キモいっつの!」
「ひどーい!友ちん!」
「某アイドルを思い出すからやめろ。」
適当につまみも頼んで口に含めば、美味しさに頬が緩んだ。
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