第9話


誰かと食事をするということが久々で、嬉しくて薄らと目に涙が浮かぶ。

 

 

 

「なーに泣きそうになってんだバカ!」

 

「バカって言う方がバカなんだし!」

 

「まあまあ、二人とも~今日はとことん飲もうー!!」

 

「そうですね、椿さんの就職祝いも兼ねて飲みましょ!」

 

「姫~!杏~!大好きだー!!」

 

「おいこらアタシが抜けてんぞ!」

 

「もちろん友香も好きよーん!かんぱーい!!」

 

 

 


 

ビールを持った手を高く挙げて、4人でカンカンとジョッキを鳴らしてアハハと声を大にして笑い合う。

 



すると隣に座る友香が私を上から下まで舐めるように眺めると、ニヤッと妖しく笑った。

 

 



 

「相変わらずスタイル抜群。高校男児に喰われるなよ~。」

 

「やめてよ、ガキになんて興味ないわ。」

 

「つぅちゃんがそう思ってても、そんなボンキュッボンな身体見せられたら男の子はたまらないんじゃなぁい?」

 

「一発でノックアウトでしょうね。」

 

「もう~ほんと勘弁!ないない!ありえない!!」

 

「それじゃあ、色気を振りまくな!!」

 

「そんな無茶な!」

 

 


 

お酒も進みだんだん愉快になってきた私達は、会話も弾み皆の近況報告を聞きながら、さっき流衣から説明された内容を思い出す。

 

 


 

「あっ、ねえねえ!…なんだっけ?」

 

「おい!」

 

「アハハ!ごめんごめん思い出した!玄武っていう暴走族知ってる?」

 

 

 

 

私の問いに首を横に振る姫と杏に対して、友香は急に目をキラキラと輝かせた。

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