至上最強のアイドル、相沢レイラ。彼女のとあるライブのフィナーレを描いた作品です。
至上最強。この言葉を書いて表現するのはかなりの説得力が必要になります。
この作品は様々な要素を用いて、彼女が最強と呼ばれるのに相応しいアイドルだと納得できるように描かれています。その点がまず素晴らしいです。
序盤から終盤にかけて異様へと変わっていく雰囲気もまた魅力です。
そして、結末。ここがこの作品の特異な点でしょう。
少し特殊なアイドル作品です。しかし、それでいて万人向けのキャッチーさがあります。字数も少ないので、スキマ時間でも読めてしまうでしょう。
老若男女問わずおすすめの作品です。
また、「神秘的」あるいは「天才」なキャラクターといった、描くのに高度な描写力が必要な人物を書けず困っている作家さんには、参考書の一つとしておすすめします。
完璧すぎるアイドルだったら、「ここまでできる」かもしれない。
相沢レイラは完璧なアイドルで、声には「f分の1の揺らぎ」という、精神を安定させる効果のある響きを持つ。
彼女が歌い、パフォーマンスを見せれば人々は魅了され、世界全体に調和をもたらしてくれる。
そこまで完璧すぎる彼女の正体は一体何か……。
彼女のことを見つめる一人の存在。その存在が明かされた時に、「とある事実」が見えてきます。
アイドルの物語というと、アイドル自身の葛藤や、ファンから見たストーリーになるのが定番。
でも本作は、『アイドル』という存在に思わぬ役割を持たせているのが特徴です。
レイラの正体。それがもたらす世の中への影響。
思わぬ世界観の広がりが見え、アイドルだけでなくもっと別の形でも、人知れず「このような仕事」をしている者がどこかにいるのかもしれない。
独自の世界観を持った、意外性のある作品でした。