〈30〉 スロービデオと、兄からの呼び出し

たくさん眠ってぱっちり目が覚めると、私の目の前に先輩の長いまつ毛があった。

クウクウと軽い寝息が聞こえる。


少しでも動くと起きてしまう。今は8時半くらい?上目遣いで時計を見る。

午後から会社に行くとしたら、まだ何時間か先輩を見つめていられる。

頭でフムフムと計画を練っていると、先輩の指がピクッと動いて少しずつまぶたが開いてきた。


まるで花びらが開くスロービデオを見るようだ。キャーっと心の中で高揚する。

「ん、茉千まち?」

寝ぼけてるかんじもイイ!ニヤニヤ。

先輩はんー?と顔をしかめる。

「なに~、エッチなことでも考えてんの?」と、私を抱きしめて胸の中に閉じ込めた。

頭とかおでこにたくさんキスをくれた。


それが少しくすぐったかったけど、イタズラな気持ちが芽生えて来て、

「先輩、今日はお昼まで時間あります」

私は上目遣いで笑いながら、キスをした。

じゃあその後たくさん抱きしめられて、ちゃんと時間いっぱいまで離してくれなかった。



お昼もだいぶん過ぎた午後に、2人で会社に行ったけど誰もいなかったので、先輩は付きっきりで私の仕事を手伝ってくれた。

そのおかげか、細かいところが訂正されてよい企画案ができた。

土曜日とはいえ、いつ誰が入ってくるかわからないから、常に扉付近はチェックして、あまりイチャイチャしないように気をつけた。


兄からLINEが入った。

「今日、スマちゃんの店に来い。藤平さんとやらもいる」って。

2人で読んで目が飛び出そうになった!

「お兄ちゃんと、みな子さん?!」

いろいろと考えを巡らせるけど、思い当たることは何もない。

2人で「行くしかない!」と頷きあった。



【完】






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優しいタイプのイケメンは確実にモテる 露氷六子 @mimichips

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