富士見ノベル応募用あらすじ
あらすじ
依月野々香は、幼い頃から「体力バカ」と呼ばれ、警察官を志していた。しかし、警察採用試験には不採用となり、代わりに区役所職員としての適性を評価され、思いがけず役所に採用される。
勤務先は区役所別館――通称「幽霊館」。
そこは、幽霊の未練を解決し、成仏させることを目的とした公的裏組織だった。野々香はその中の一部署「幽霊成仏課」に配属される。
上司となったのは、ヤクザのような風貌と威圧感を持つ男・雲雀壱哉。「部下は俺のモノ」と言い切るほど強引でアングラな雰囲気を漂わせる霊術師だった。
幽霊成仏課での最初の仕事は、赤ちゃん幽霊・勇気君の成仏支援。
幽霊は49日以内に未練を解決しないと悪霊化してしまう。勇気君の未練は「靴を履いて走ること」だった。しかし、彼にはもう身体がない。
雲雀は霊術を用いて「憑依」を提案。だが、憑依は身体を貸す側に負荷が大きく、危険な行為だ。野々香は自慢の体力を武器に憑依体になることを決意し、勇気君に走る喜びを体験させ、無事に成仏へと導く。
この経験を通じて、野々香は幽霊成仏課の意義を深く実感していく。
やがて野々香は、雲雀が「病的な迷子体質」であることを知る。仕事にも支障をきたすほどの重度な症状で、その原因は「封鎖村」にあった。
十年前、封鎖村では感染症が発生したとされていたが、実際は大量の悪霊が発生し、多くの人命が失われた「霊災」が起きていた。雲雀は封鎖村の出身であり、そこで受けた霊害により迷子体質になった。
そして野々香もまた、封鎖村の出身であることが判明する。
次なる担当は、恋人に浮気された幽霊・杏梨。彼女の未練は「浮気した彼氏を殴ること」。幽霊成仏課は、未練を晴らすためなら多少の違法行為も辞さない。悪霊化阻止こそが、幽霊成仏課において最も重要なのだ。
杏梨の未練を晴らすため、雲雀は元彼に対し過剰な暴力を加える。その惨状を見た杏梨は、自らの未練の無意味さに気づくが、それでも成仏できない。
野々香は夜勤の中で杏梨と向き合い、「お姫様になりたい」という彼女の本当の夢を知る。雲雀に提案し、結婚式場を貸し切ってドレスを着放題にするイベントを実施。強面の雲雀も花婿役として協力し、杏梨は夢を叶えて成仏する。
野々香は、「未練を晴らすのは復讐ではなく、『次はきっと』という希望だ」と学ぶ。
幽霊成仏課の仕事に慣れ始めた野々香は、雲雀とともに「ヘルプ案件」――悪霊化した幽霊を処刑する業務に同行する。霊術師として悪霊を消滅させる雲雀。そのやるせなさに舌打ちする彼の姿に、野々香は上司の苦悩を垣間見る。
その後、二人は封鎖村へ出張に向かう。雲雀は愛用のピアスの修理を老婆・巴に依頼。村に集まる悪霊の処理も業務の一環だった。
その中で野々香は、自身の封鎖村での記憶が欠落していることを実感。巴から、自分が「魂の器」という特別な霊的資質を持っていることを知らされる。
さらに、かつて雲雀と婚約関係にあったことや、雲雀が抱える重い未練も知る。
驚きとともに複雑な思いを抱くが、野々香はますます幽霊成仏課の業務にやる気をみなぎらせた。上司の抱えるものを「一緒に持ちたい」という思いが、野々香の胸の内に芽生えていく。
出張後、野々香は休日出勤として「迷子幽霊」の捜索に当たる。巴の指導のもと、「魂の器」の力で幽霊を発見。雲雀の役に立つために器の力を使いこなしたい野々香は憑依を試みようとする。だが、雲雀が猛反対。器の力は無理に使えば命に関わる――それほど危険なものだった。
そんな中、野々香はこれまでで最も悪霊化に近い幽霊・碇圭太を担当する。
ブラック企業での過労によって命を落とし、恋人・莉乃が自殺未遂をしたことで未練を拗らせた碇。彼は、莉乃が自殺して共に幽霊になることを望み、ついに悪霊化してしまう。
「俺の担当は絶対悪霊堕ちさせねぇ」という雲雀の信念を継ぎ、野々香は器の力を解放。命をかけて碇を浄化し、成仏へと導く。しかしその代償として、野々香の命も危険にさらされてしまう。
雲雀は霊術を駆使して、野々香を救う。彼女は後遺症としてその後も、雲雀とお揃いのピアスをつけ続けることになる。
雲雀は野々香の成長を認め、幽霊成仏課は今日も幽霊の未練に寄り添い続ける――。
役所OL×オカルト×バディ
幽霊の未練ドラマが織りなす、体力バカOLのお仕事成長譚。
役所OLに就職したら、幽霊成仏課に配属でした!~その上司、アングラにて~ ミラ @miraimikiki
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