第4話:フィギュアみたいな妖精の為の観葉植物。
缶詰の子が僕を見上げると目を細めてコロコロ笑った・・・赤ちゃんみたいに。
僕の人生はバラ色?・・・これのどこが?
それはいいとして・・・なに?・・・この子は?
ボブゴブリンのギモーヴさんが言ってたな・・・。
女にモテない友彦にわしからの細やかなプレセントだって・・・。
ギモーヴさんは幼い妖精たちを育てて暮らしてるって言ってたし・・・。
なら、この子は妖精?。
そしたら缶詰の子は僕に挨拶した。
「こんにちは・・」
「あ、こんにちは・・・」
え〜この子、普通に日本語なんてしゃべれるんだ・・・って言うかギモーヴさんだって日本語しゃべってたよな・・・」
ギモーヴさんは僕にこの子達を育てろって缶詰をくれたんだ?
妖精は命を分けてくれるって?・・・まさかね。
迷惑な話だよな・・・猫とか犬とかペットを誰かから貰って来たのと同じじゃん。
妖精ったって名前くらいあるだろう?
そう思って金の缶詰の子に名前を聞いてみた。
「君?なんて名前?名前くらいあるんだよね」
「名前なんてないの、最初に会ったのが、あなたなんだからあなたがつけて?」
「え?僕が・・・いきなりそう言われても・・・すぐには思いつかないな」
「ちょっと待ってね」
さて、どんな名前がいいか・・・そうだ大学にひとり好きな子がいるな〜、
どうせその子とは、これから先も付き合うこともないだろうから、その子の
名前もらっちゃおう。
彼女の名前は「
じゃ〜エマでいいんじゃね?って思ったから・・・
「君の名前だけど・・・エマって名前でどう?」
「うん、それでいいと思う」
吉仲 恵麻がここにいなくても、エマって名前は呼べるし・・・。
「じゃ〜今日から君はエマで・・・で僕の名前は友彦、トモヒコ」
「トモヒコ・・・よろしくトモ・・・」
で結局、エマは僕のことをトモって呼ぶことになった。
「トモ・・・このお部屋に観葉植物ある?」
「あ、買ってあるよ・・・ちょっと待ってね」
僕はエマの前に観葉植物を持って来てやった。
「観葉植物でなにするの?」
「私たち妖精は元々植物から生まれた性霊だから、だからある程度育ちきるまで
観葉植物から精気を分けてもらうの」
「今の時期の私たちはモノを食べないからね」
エマがそう言った。
ああ、なるほどガジュマルって精霊が宿る木って言うからな・・・それでか。
「精霊ってご飯食べないんだ」
「そうじゃなくて食べないのは今の時期だけ・・・そのうち食べるようになるから」
「ああ、食べるんだ・・・」
これは僕は知らなかったんだけど妖精は缶詰から出て初めて目にした人を自分の
恋愛の対象にするってことらしい。
いわゆるインプリンティング「刷り込み現象」ってのに似ている。
アヒルや鶏とか鳥類のひなが出生後の間もない時期に最初に見た動くものを親と
認識するってあれ。
一度学習した経験は長時間持続するそうだ。
そのへんギモーヴさんは何も教えてくれなかったし・・・。
だから僕は恋愛の過程を踏むことなくいきなりエマに愛されることになった。
待て待て、ギモーヴさんの勝手な独りよがりで、僕はフィギュアみたいな妖精と
恋愛しなきゃいけないのか?
これからエマになにが起きるかも知らないで・・・。
つづく。
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