第5話 死神の大太刀 伍
山道で待つ
「こりゃ、神頼みでもしないとやってられねぇな。」
弱気とも取れる発言が口から漏れた。こんなことではダメだ、
不意に大きな木の下で見た餓狼のことを思い出した。今あの男の事を思い出した理由は分からない。各地で名を上げている彼ならこんな状況をどう思うのだろうと。
死神、そんな異名が着くくらいなんだから、さぞ強いんだろう。だったら・・・。
「俺達を助けてくれるなら、死神でもなんでも崇拝するんだがな。」
「今戻った。何か異常はあったか?」
菊之助が問う。おそらく何も無かっただろう。案の定、二人の部下は沈黙したまま。言葉の無い短い時間があった。その後、部下の一人が口を開き、疑問符を投げかける。
「・・・その者は?」
二人の目線は
「あぁ、この人は・・・。」
「・・・死神。」
説明しようとした
「
すぐに頭を下げる
「気になんてしてないさ。最近その名で呼ばれていることは知っている。俺には過ぎた異名だ。死神・・・死神か。まったく、過ぎた異名じゃないか。他人から見れば常人とは違う。そう考えれば死神と言いたくもなるか。ふむ、俺はそんな風に見えるか。」
身形からは想像できないほど
闇夜に溶け込んだ大太刀が見えなかった。技量が違いすぎる、それが言い訳にならないほど餓狼の剣技は卓越していた。
常に行動を共にしてる
「餓狼殿を荷馬車に乗せることは可能だろうか?」
荷馬車にはサチとサナの二人が乗っている。多少狭くはなるだろうが、
「俺達家族は、この男とはあまり関わりたくない。」
この状況を打開してくれるなら死神であっても崇拝できる、そう思っていた。だが、実際に死神と呼ばれる男を目の前にすると気持ちが臆してしまった。
「ほら、だから言ったじゃないか。俺を乗せようって御者はいないって。死神なんて異名が付いては俺の隣を歩けるって人間を見つけるのも一苦労だろうさ。そもそも、あの男は俺を恐れている。」
図星を突かれた。十吉は慌てて否定の言葉を探した。
「そんなんじゃ・・・。」
その言葉を遮るように
「お前、元兵士だろう?それもかなりの手練。歩き方を見ればわかる。剣の扱いにも慣れていそうだ。俺に恐怖を抱き、関わりたくないと思うのは、
次に困るのは
「それでは
「断る。」
「まだ何も言ってないじゃないですか。」
「なんだか、面倒な予感がしてな。話だけでも聞こうか。」
「私の馬をお貸しします。その上で同行をお願いします。私が
「それではすぐに動きましょうか。私は
胸の中で不安が膨らんでいく。
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