第8話

頼むからさっさと辞めてくれ。


「えっと、はじめまし、て?出雲 朝陽です。」

「初めましてじゃないし、名前は琴葉先輩から聞いたので必要ありません。」


それが僕の正直な気持ちだ。


「へ??そっか…えーとじゃあ今から部室の説明を」

「昨日の朝、一通り見させていただいたのでそちらも必要ないです。」

「あっそぉ…。」


沈黙。 月見里は空気を読むということを知らないのか。


「じゃあメンバー探さないと。キーボードいないところは」

「バンドを組むつもりはありません。あくまで音楽の知識を身に着けたいだけですので一人で活動します。」

「えぇ!?でもそれじゃ、まるで」

「出雲先輩と一緒ですね。出雲先輩と琴葉先輩以外に話せる人いませんし、つくるつもりもありません。」


つまり、これからも僕は月見里と関わらなければならない、ということか。ぼっち同士で。


「はぁ」

「お疲れですね。お話聞きましょうか?」

「…遠慮しておくよ。僕は、もう帰るから。」

「えっ、ちょ」


月見里をちらりと一瞥して、僕は足早に教室を出た。


災難以外の何物でもない。

適当な人とバンドを組んで、適当に楽しんでくれれば良かったものを。

それに月見里は、僕の詩を盗み見て何かに気づいてた。

…もしも月見里と僕の距離が縮まったら?

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例えば君が、この世にいなかったとして @473710

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