第19話

「まぁ、今日は災難だったな。」




ポツリとこぼす様に言った男をあたしは軽く睨んだ。




「何よ。笑ってたくせに。」



「だってお前のぶりっ子マジウケるし・・・。

あれを信じるハゲヤマさんもなぁ・・・。」




思い出し笑いを噛み殺しながら言う和泉は真面目でお優しい癖に意外と失礼だ。




「あんたも今ハゲって言ったじゃない!」



「お前がそう思ってるからそう聞こえたんだろ?

やめろよ。男にハゲとか禁句だって。

オレだってびびってるんだよ・・・。」



「確かに。最近おでこ広なった?」



「やめてくれ!!」




そんなくだらない冗談に二人で声を上げて年甲斐無く大笑いをする。






確かに、この時間が、この会話が、心身を擦り減らして必死で仕事をしてきた私達には必要だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る