第20話

「けどさ、本当にだから何っていう気も無いけど・・・。

女って、便利なんだか不便なんだか・・・。」



「・・・。」




不意に漏れてしまったあたしの本音に、和泉が黙った。


黙ってしまった和泉に少ししまった、と思う。



優しい和泉はあたしがこういう扱いを受けるのを嫌っていた。


本人であるあたし以上に。






あたしは、だから何なんて、言う気は毛頭無い。



あたしは会社に入れば一営業だ。



数字や成果をシビアに扱っている所為か。


"男女平等"なんて綺麗事、口が避けても言えなくなった。


10年も働かずに辞めていく、辞めなくても出産や子育ての時期を多くが通る。



そういった可能性が多分にある女性にお金を掛けて、投資をして採用する事がどんなに会社にとってリスキーか。



流石に5年目にもなれば気が付いてしまった。



だからあたしは、女である事を武器にしないつもりも無い。

元から平等じゃないんだ。


別にズルいとも思わない。


女が男と同じ様に働いたって太刀打ちできる訳が無い。

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