第13話

今日の昼間の事。






新人の男の子のミスでうちの大口顧客である竹山様の不況を買った。




詳しくは知らないが竹山様の顔が分からなかったその男の子が失礼な事を言ったらしい。




竹山さんは確かに女好きではあるけれど、仕事には厳しくて、礼儀には本当に人一倍うるさい。



解約すると言い始めたあの人にあの手この手でみんなで機嫌をとって、態度が軟化してきた所で竹山さんのお気に入りであるあたしが最終手段で登用された。




あたしは普段はあの人から何かされちゃいけないと距離をとって来た。



会社もそこそこ大手だから、女子社員にセクハラなんかで騒がれたらたまったもんじゃない。



裁判沙汰にでもなれば傷がつくなんてもんじゃ済まされない。



契約が一件流れるだけならいいけれど、会社も容認したなんて言われれば信用問題だ。



だからその毛のあるお客様には女性営業は当てない様に会社も気を使っていた。






そんな風に竹山さんから見れば箱入りに見えただろうあたしは益々竹山さんが機会があれば絡みたい存在になっていて……


そんなあたしと飲めるってことで、軽い下心付きでこの接待を受けた訳だ。








……悪い人では無いんだけど、分かりやすい人だ。

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