今回は本当に緊急事態だっただけで、普段からこうな訳じゃ無い。

偶に、こういう事もあるって所。

それに、あたしに今日の飲み会の拒否権は与えられていた。

課長からは来なくてもいいと言われていた。

それでも請け負ったのは、プライドだったりもあるけれど、やっぱり一番はお世話になってきた課長の困った顔を見てしまった所為だ。

更に言えば、会社はあたしが上手く立ち回れるだろう事も分かってた筈だ。

あたしは自分で言うのも何だけど、仕事も愛想も手を抜いた事は無い。

そこそこ年齢の割に、女性の割に、信頼もされていると思う。

そして男受けのいいあたしが、決して天然なんかじゃないなんて事、みんな気が付いていた。

「可愛いね」と言われる事はあっても「綺麗だね」と言われる事は無いあたし。

元からの美人では決して無くて、努力して作ってる。

似合って薄く見えるメイクをしっかりとして、いつだってニコニコと感じ良く振舞って、可愛らしく見える様に振舞っているだけ。

例え会社の人には同期以外の前では素を晒す事はしなくても、周りだって先輩営業だ。

人を見る目は皆確かだ。

少しだけやり過ぎたと言う思いがあれば、竹山さんは強くは出られなくなる。

その絶妙なラインをあたしが心得ているなんて事、みんな分かっている。

竹山さんは何だかんだで仕事には真面目な人だから、本気で訴えられかねないようなセクハラをする様な人じゃない。

……セクハラに関しては、お酒さえ入らなければの話ではあるけれど……

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