【4人台本】まぁ待て勇者、これを飲め

夜染 空

まぁ待て勇者、これを飲め

『まぁ待て勇者、これを飲め』

勇者が怪しい薬を飲ませられる話


登場人物

勇者(不問)

賢者(不問)

僧侶(不問)

村人(不問)


以下、本編


勇者:「M/私は勇者だ…もう一度言う。私は勇者だ…なのに何故、こうも変なのに声をかけられるのだろう…」


僧侶:「そこの勇者様…アナタ、死相が出ていますよ?」


勇者:「死相…?なんだそれは…」


僧侶:「アナタに死が近付いているという事です…顔からそれが伝わるほどに、アナタの死相は強い」


勇者:「ふっ、死相か…数多くの魔物を討伐してきたのだ、恨みを買って見えざる手を伸ばすモノがいてもおかしくない」


僧侶:「その死相…取り払いたくはありませんか?」


勇者:「…何を馬鹿な事を…私がそんなものに負けるわけがないだろう」


僧侶:「まぁ待て勇者…コレを飲みなさい」


勇者:「…これは?」


僧侶:「我らに伝わる秘伝の薬…これを飲めば悪しきモノから自身を守れます」


勇者:「…なんだか怪しいな…なんか沼みたいな色してるぞ…害はないんだろうな」


僧侶:「害?そんなものありません…さぁ、仕事終わりに飲むキンキンに冷えたエールを飲むかの如くグイッといきなさい」


勇者:「こんな怪しい色した液体を…エールのように飲むのは…」


僧侶:「飲まなければ死がより一層近づくだけです…さぁ、さぁ!飲みなさい!」


勇者:「…(意を決して飲む)」


勇者:「…ぐっ!ぐぅぁ…あぁぁ、ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」


僧侶:「ふははははっ!飲んだな!馬鹿め!私は貴様に討伐された魔物の残留思念だ!貴様に倒された仲間達の恨み、今ここで晴らしてくれるわぁ!!」


勇者:「あ、あぁ、ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」


勇者:「…なんだこれ…死ぬほど不味い!!!!」


僧侶:「……は?」


勇者:「形容しがたい不味さだ…こんなものを飲んで生きているのは私くらいなものだな…」


僧侶:「…き、貴様!なぜ生きていられるのだ!!」


勇者:「残念ながら、私に毒の類は効かないのだよ!全て体内で無毒化出来る!なんなら、その毒を解析して自分の技として取り入れることが出来るのだ!」


僧侶:「んな無茶苦茶な!?」


勇者:「さぁ…僧侶の格好をしているからと少し油断したが、もう遠慮はいらないな?」


僧侶:「ま、待て…話せばわかる…そうだ!これをやろう!コレは我らに伝わる伝説の…」


勇者:「いらんわそんなもーん!!」


僧侶:「あぎゃぁぁぁあ!!」


勇者:「…ふぅ。魔物の残留思念か…恐ろしい敵だった」


0:魔(間)


村人:「勇者様、村の外れに魔物が出ました…!どうか助けてください…!」


勇者:「なんだと!?それは大変、場所はどこですか!」


村人:「コチラです!」


0:連れてこられたのは森の中


勇者:「…村外れと聞いていたが、ここはどう見ても森の中だ…君、これはどう言う事だ」


村人:「実は、私には祖母がおります…ですが流行病に罹ってしまい、」


勇者:「質問に答えろ!」


村人:「こうして時折やってくる冒険者や旅の方に祖母を治すための薬を作ってもらっているのです」


勇者:「……それなら薬師に頼めばいいだろう」


村人:「私の村の薬師はヤブ医者でして…薬に使う薬草は魔物が飛び交う地にあるのです…私一人ではとても…」


勇者:「…わかった、そういう事なら協力しよう」


村人:「あ…ありがとうございます!」


勇者:「…だがなんの薬草を取ってくれば良いのだ…何か絵や資料は無いのか?」


村人:「でしたら…これをお飲みください!」


勇者:「……何だこの茶色い液体は…」


村人:「まぁ待て勇者、とりあえずこれを飲めば必要な薬草が見ただけでわかるようになる秘伝の薬!これを飲めば絵などなくとも…」


勇者:「はい却下ーー!」


村人:「な、なぜですか!!」


勇者:「いや、なんかデジャブ」


村人:「デジャブ…?こ、コレは怪しい薬ではありません!!我が家に伝わる伝説の薬!いつかの魔物が飲ませようとした毒などではありません!!」


勇者:「…おい待て、なぜその事を知っている…」


村人:「ギクッ」


勇者:「お前…まさか残留思念の生き残りか…?」


村人:「なななななななんのことかわかりませんなぁ(わざとらしく口笛)」


勇者:「お前達魔物には…学習能力がないのかぁあああああ!!」


村人:「あぎゃぁぁぁあ!!」


勇者:「…ふぅ。また怪しい薬を飲んでしまうところだった…だがあの薬…色に反して良い匂いがしたな…ちょっと飲んでみるか…」


賢者:「お辞めなさい」


勇者:「…っ!?誰だ!」


賢者:「私は賢者。この地を守護する神の御使いでもあります」


勇者:「そんな大層な者が、私に何の用だ」


賢者:「まぁ怪しむのも無理はありません…ですが、とりあえずその薬を飲むのは辞めておきなさい。いくら毒が効かない貴方でもさすがに危険です」


賢者:「なぜそんなことが分かる」


賢者:「私は賢者です。」


勇者:「…だからなんだ」


賢者:「私は、賢者ですよ?」


勇者:「…だから何だよって!」


賢者:「賢者の言うことは聞くものです」


勇者:「…理由になっていない」


賢者:「分かってないですねぇ…勇者と賢者では頭の出来が違うのです。賢い者の言うことは聞きなさいという意味ですよ。だいたい、脳みそが筋肉でできているようなアナタの事です…今までも後先考えずに適当に冒険してきたのではないですか?」


勇者:「言わせておけばこの賢者…かなり失礼だぞ…」


賢者:「おや失礼…ですが事実ですよね?何度死ぬ思いしましたか?」


勇者:「ぐっ」


賢者:「先程も同じような手で怪しい薬を飲まされそうになったのに…わざわざの自分から飲もうとする始末……馬鹿なんですか?」


勇者:「いやぁ…なんかいい匂いするから」


賢者:「やはり脳みそが筋肉でできているようですね」


勇者:「何だこの賢者…ほんとに賢者か…?」


賢者:「まぁいいでしょう…」


勇者:「……?」


賢者:「さぁ勇者、これを飲みなさい」


勇者:「またか!?」


賢者:「コレは聖水です。怪しいものではありません」


勇者:「そう言って出てくる液体全てが怪しいんだよ!」


賢者:「アナタにまとわりついている魔物の残留思念を取り払うありがたーい聖水です。いいから黙って飲みなさい」


勇者:「…本当に害はないんだな?」


賢者:「賢者が差し出すものに害があるわけが無いでしょう」


勇者:「…なら…ゴクゴク…」


賢者:「……ふっ、飲んだな…!」


勇者:「な、なんだ、なんだこれは…!!」


賢者:「お前に飲ませたのは若返りの薬だ!その可愛い面が幼少期どんなだったかを拝ませろ…!さぁ撫でさせろ!さぁ愛でさせろぉぉ!!」


勇者:「(ロリ・ショタボイスで)ふ、ふざけるなぁぁぁああああ!!!」



村人:「賢者様も悪ですねぇ…いくらちびっこ勇者が見たいからって、まさか私たちをこんな風に使うなんて…」


僧侶:「仕方ないですよ…私たちは賢者様が出す薬を怪しまれずに飲ませるための当て馬ですし…」


村人:「まぁ、報酬はしっかり貰ったので、文句はありませんけど…」


僧侶:「…賢者様、ロリショタ属性だったんですね…」


村人:「哀れ勇者様…」


僧侶:「強く、生きてください」


賢者:「はァァァ可愛い!可愛すぎる!もう手離したくない!成長させたくなぁぁい!」


勇者:「(ロリ・ショタ)嫌だァァァァ!離せぇぇぇぇ!!」


僧侶:「(出来れば一緒に)ちゃんちゃん」


村人:「(出来れば一緒に)ちゃんちゃん」


終わり

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