夢なんて見たくないのに

咲樹

別にそんなんじゃないけど

あの夢を見たのは、これで9回目だった。

君がいなくなってから、雨が降るたびに同じ夢を見る。

消えた想いで空いた心に残る痛みで目が覚める。

そして君の声が聞こえてこないことに絶望する。

きっとやりようはいくらでもあったというのに、何もできなかった自分が嫌になる。

涙を拭って大丈夫だと自分に言い聞かせて布団を出ても、胸に刻まれた君への想いは消えることなく、ただ寂しさだけが募る。

だから僕は雨が嫌いだ。




あれから何回雨の日を過ごしたのだろうか。

君以外のことはどんどん忘れていくというのに僕はずっと君に縛られてる。

もう見れないとわかっているから、脳裏に君の笑顔が焼き付いている。

キッチンに立つと君のことを思い出すから、もうしばらくは料理ができない。

君は出前があまり好きじゃなかったから、この家で食べる出前飯は僕にはちょっと新鮮で、どことなく悪いことをしている気分になる。

君に使っていたお金が浮いたから、その分君が好きだったお酒を買った。

タバコを吸ったら少し幸せになれた気がして、たくさん吸った。

多分君がいたら......なんてことを思って。

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夢なんて見たくないのに 咲樹 @saki-kikousyu

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