5話 お仕事中に覚醒です!
「はぁ…はぁ…いいか…!おれは…はぁ…ほんとに!…認め…ない…からな…」
「そうか…なんかまあ、うん了解したよ」
人通り落ち着くと彼は息を切らしながら私に
「明るい家になりそうだな〜」
「そうっすね〜」
「あはは…」
私と
3人の反応に秀はまた逆上しそうになるが、コンコンっというノックに全員意識が向いた。
「あいよー」
そう言いながら、カズが部屋のドアを開ける。
部屋の前には
「電話対応終わったのか?」
「えぇ、今夜また出撃しろって。あ、秀くんいる?」
「…なんすか?」
「
うっ…と図星を突かれたかのような表情をした秀に対して、ニヤニヤとしながらカズが
「なぁ、それってお前らの仕事…なんだろ?私はその間どうすればいいんだ?家で寝てりゃいいのか?」
そう疑問を投げかけると、全員私の方をえ?と困惑した顔で見てきた。
「な、なんだよ…」
「なぁーに言ってんだよ、
「朱乃さんも一緒に行くんすよ!」
「はぁ!?」
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そこから約数時間後の夜
私は小学校の前にいた。
「何すんだよ…こんなとこで」
「だから言ったろ、ヴォンデッド退治だよ」
「いや、そりゃ…さっき聞いたけどよぉ」
ヴォンデッド退治。
蒼空が電話対応していたのはそれの依頼が来たからだそうで。
「如月ちゃんは見てるだけで大丈夫だからね。今日は僕たちが何とかするから」
と、謎のフォローを入れながら海斗が微笑みかけてきた。
「あぁ…?ありがとう?」
「それにしても、お前らのその格好何なんだ…?」
依頼に行こうとすると、全員部屋に戻り、私服から翼が着ていたような軍服に変わっていた。
男子は黒い軍服を、女子はスカートタイプの白い軍服を着ていたが一番の特徴はその上に着ていた羽織だろう。
「なんで軍服…しかも羽織まで…」
「かっこいいし、かわいいでしょ?翼さんがくれたんだよ」
そう言って蒼空は椿と一緒にその場でクルクルっとまわって見せてくれた。
「すぐに朱乃さんも、翼さんから貰えると思うっすよ~」
「あぁ…そうなのか」
(うん?すぐに?)
「新入りが気に入らねぇのはわかるけどよ、仲良くしとこうぜ秀」
とすかさずカズが話しかけた。
「…わかってるよ、ただ今から戦場になるっつのにあんな素人を置いといていいのかよ」
「まあまあ、いいじゃないか。翼さん曰く、戦場に出てこそ、
(力…なぁ)
こいつらも翼も一体私に何を期待しているのだろうか
別に私は普通の人間なはずなんだが…
そう思っていると、カズが「来たぞ!!!」と声をかけた。
校庭の中には先程まではいなかったはずの、黒い影を纏った"あの"化け物がたくさんいた。
「うお…!?あんなたくさんいるもんなのか!」
そう驚いていると、椿がそれを聞き逃さなかったようにこちらを向く。
「お、やっぱり見えるんすね。しかも、造形までしっかりと」
「フン…それくらい見ぇねぇと話になんねぇよ」
秀はそう言ったが、椿は期待した目でこちらを見る。
しかし、他はそれどころでは無い様子で指示を出し始めた。
「俺と秀は先に突っ込む!椿と海斗はサポート!蒼空は朱乃を守ることを優先してくれ!」
「「「「了解!」」」」
そう言うと私と蒼空以外は敵軍の中に突っ込んで行った。
「あらよっと…!ほらほら、こっちに美味そうなのがいるぜ!」
そう言いながら、敵を切り刻んでいくカズ。
「オラオラオラァ!!!」
容赦なく敵を殴り、倒す秀。
「後ろからも来てるっすよ!」
「後方支援は任せてくれ!」
そう言って、矢を放つ椿と何かを唱えながら、人型の紙を敵に向けて飛ばす海斗。
「はぁぁぁ…すごいな」
と圧巻する。
「これが白狼隊の仕事の1つ。ヴォンデッド退治。普通の武器だとヴォンデッドは倒せないんだけど私たちが使ってる武器なら倒せるんだよ」
蒼空は校庭と同じ敷地内にある体育館の屋根の上から教えてくれた。
しかし、私は1つの疑問が浮かんだ。
「これってよ、見られたりしないのか?ほら、ここ小学校だし仕事帰りの奴らとかも通るだろ」
「それは大丈夫。校庭に入る前に結界を張っといたから普通の人にはこの光景は見えないだろうし。それにね」
「それに?」
「そもそもヴォンデッドが見える人ってすごく少ないの。特に私たちみたいに形までしっかり見えてる人はね」
思い返してみればそうかもしれない。私はレンを助けた時に化け物に見えたが、レンは黒い影だけしか見えてなかった。
「なるほどなぁ…」
そう関心していると、私は1人が目に止まった。
「なぁ、あいつ大丈夫か…?」
目に留まったのは秀だ。
明らかに他の3人より動きが遅く疲弊している見える。
「あいつやばそうじゃないか?」
「うん…結構辛そう…」
蒼空は一瞬で状況を判断し、私に別の指示を出した。
「ちょっと、秀の所にサポートへ行ってくる。朱乃ちゃん、ここから絶対に動かないでね」
そう言い
駆けつけると秀は蒼空に何か言っているようだったが、すぐに悔しそうな表情をし敵に向き合い始めた。
(これが私の知らなかった世界の裏側か…)
とても驚いた。
まさかこんなことが日本で広がっていたなんて。
普通の人だったら、この光景を見て逃げ出すのだろうか。
ただ、私は逃げなかった。
むしろ、とても目が引かれる。
そう思いながら、もっとこの光景を目に焼き付けようと思った、、、がその直後
「朱乃!!!!逃げろ!!!!」
そう言われ、前を向いた時には時すでに遅し。
ヴォンデッドの鋭い爪が私の胸を切り裂いた。
「朱乃ぉぉぉ!!!」
叫びながら、すぐにカズが私の目の前のヴォンデッドを切り刻んだ。
「朱乃!おい!大丈夫か!?」
私はその場に前から崩れ落ちた。
「はぁ…はぁ…!」
視界が歪む、カズが何か言っているが何も聞こえない。
胸を触ると、赤い液体が手にベッタリ付いた。
(これ…私の血か…?)
死ぬのか…?
ここで?
…死にたくない
絶対に!!
死んでたまるもんか!!!
あんな!
あんた素晴らしいものを見たのに!
心が騒いだ、こんなに心が騒いだこと今まであったか!?
いや無い!
私は!
あの…!あの戦いに参加するために生まれて来たのではないか…!?
すると、頭の中に声が広がった。
『お、やっと気づいたか?』
誰だ…あんた…
『おいおい、今そんなこと気にしてる場合じゃあないだろ?』
『単刀直入に聞く。力が欲しいか?』
『あの場であいつらと戦える程…いやそれ以上の力が』
私は…
『早く決めろよ~そうじゃなきゃ、あんたのからだが…』
くれ!!!
何でもいい!
私にその力とやらをくれ!!
『…ふふっ、いいさ気に入った。うん、君はそうでなくちゃ』
『"
『まだ、全部はあげられない。けど…』
そう言うと、謎の声の主が私の顔にそっと手を触れた。
『これくらいなら。いいだろう』
『…どうか、君がこの力を受け入れることを願っているよ』
声が消えると、私の意識もそこで途切れた。
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