第7話

「ん、……あ、れ、?」



出会った時の事を思い返していた時、眠気を含んだ声が耳を揺らし、現実に戻される。



短くなっていた煙草を灰皿に押し潰し、横を見ると、瞬きを繰り返す寝ていた奴が俺を凝視していて。



「あたし、寝てた、?」



掠れる声はそれを証明してるにも関わらず、確認をとるソイツに薄く笑う。



「寝るなら向こうで寝ろよ。」


「……哉希が帰ってくるの待ってたら寝ちゃってただけだもん。」



哉希。


お前だけが呼ぶ俺の名前に少し高揚する。



のっそりと起き上がるソイツは未だに眠そうに目を摩っていて。



「……おかえり。」



ふわり、と見惚れるように微笑んで、やっと聞けた言葉に返事もせず近寄って距離がゼロになると、何をされるかわかったのか、頬を赤く染めながらぎゅっと目を瞑っている。




薄い唇にそっと重ねて「ただいま。」笑って返せば、嬉しそうに笑う愛しい女。



そのまま立ち上がりソイツの腕を引けば、「かなき?」動揺を占める瞳がゆらゆらと揺れている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る