第6話
両親のように自分にとっての特別な人に呼ばれたいと願った名前は、この女に呼ばれて初めて光り輝いて見えた。
コイツが俺にとっての最愛なのかわかんねえけど。
だけど、沸いた気持ちは少しずつ形になっていった。
初めて見た瞳が死を切望していることには気付いていた。
心を開いたら、なんて曖昧な言い方をしたけど、本音は拒絶されるのが怖かっただけなんだ。それを言って本当にコイツが死んだらどうしようって情けない気持ちが占領していただけなんだよ。
コイツにとって、俺が生きる希望になったらいい。……なれたらいいのに。
微笑む顔に、怒る顔に、悲しそうな顔に。
全てを俺だけが見れたらいいのに。
黒い髪も、吊り上がった瞳も、薄い唇も。
全てが俺だけのモノになったらいいのに。
そうきっと、初めから。
初めて、死を願いながらも懸命に立ち向かう瞳を見た時から、
—————…俺はお前に惹かれてたんだ。
なんて事、一生お前には言わねえけどな。
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