第4話

「カナ、」


うるせえな。


「カナってば。」


人がせっかく寝てんのに。


「もう、起きてよ。」


「……なんだよ、」



無理矢理現実に呼び戻す声に、苛ついて言い返すと「起きて。」呆れを含む声が同じ言葉を繰り返す。



薄っすら目を開ければ、目の前に立つ疲れた顔をするソウ。



「早く起きてよ。」



何なんだよ、と不満を漏らしながら、怠い体を起こす。



「連れてきたよ。」



……何の話してんの、



目を細め欠伸を漏らすと「カナが呼んだ子のことだよ。」やっぱり呆れてるソウが言ったことに、少し前のメールを思い出す。



「ああ、あれか。」


「ああ、じゃないよ。呼んどいて何呑気に寝てるわけ?」



ゆっくり立ち上がり小言を零すソウに、扉を開けながら、



「うるせえな。別にいいだろ。」


「良くないよ。カナが呼んだんでしょ?」



面倒く言い返せば、同じように面倒そうに言い返される。



それを無視してリビングに入ると、視界の端に映る見慣れない女。



こちらを凝視するソイツは、ソウが言った通り稀に見るほどの綺麗な女で。




艶のかかった黒い髪に、少し吊り上がった大きな瞳、薄い唇は妙な色気を含んでいて。



痛い視線を投げかけてくる女に「見惚れすぎだろ?」と笑えば、慌てて目を背ける女に余計に口角が上がる。

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