第3話

あの日。


実家に用があった俺はソウ達とは行動を別にしていて。


用が終わり丁度家に着いた時、振動を知らせるそれを耳に当てた。



「どうかしたか?」


『カナ、美緒とはぐれちゃった。』


「何やってんだよ。」


『繁華街を歩いてて、気付いたら美緒がいなくなってんだ。』



ため息を漏らし、玄関の扉を開ける。



「GPS追えよ。」


『追ってるんだけど、なんか移動してて。』



移動?



「なら戻ってくんじゃねえの?」


『そんな悠長な。』


「美緒は意外と強いから何とかなるだろ。マジでやばくなったらまた電話しろ。」


『ちょっと、カナ?』


「俺寝るから。じゃーな。」



ソウの返事も聞かず、寝室に入りベッドに寝転ぶ。



欠伸を噛み殺し、重たくなる瞼に従って目を閉じる。



うとうと、と寝入りかけた時、またも振動を奏でる携帯に短く舌を打ち。



すぐに鳴り終えたそれは、どうやら電話では無くメールだったようで。



めんどくせーな、と内心思いながら画面をつけると、



『美緒無事だったよ。凄く綺麗な子と一緒にいるんだけど、その子俺らに興味ないみたいで帰りたいって言ってるんだ。でも、礼もしてないし、どうする?連れて帰る?』



興味を唆られる文章が届いてあり。



パパッと返信してまた目を閉じる。



『見てみてえな。連れて来いよ。』



沸き起こる感情に密かに笑い、その時が来るのを心待ちにして再び夢の中に入っていく。

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